頑張る地元プロジェクトチーム |
しまね発の低アレルゲン化小麦栽培
森田教授によるプロジェクト説明「しまね夢こむぎ®を棚田で作る理由」についてご紹介いたします。
後半は、森田教授と松本正人氏とのご縁についてご紹介を行います。
島根県は農業の盛んな地域ですが、高齢化のため農業人口が激減し、耕作放棄地がたくさんあります。その中で、特に先住が苦労して作った美しい棚田が荒れ果てています。
棚田百選に選ばれた、室谷の棚田や中垣内の棚田も、半分以上が放棄されているのが現状です。ここを何とかしたいと思われる県西部の起業家、松本正人氏を応援したい、そして美しい景観を取り戻したい・・そんな思いでこのプロジェクトを行っています。
◆ 益田市の松本氏とのご縁
研究開始当初、小麦の栽培試験は、島根県中山間地域研究センター(飯南町)が担って下さっていました。2007年当初は、今岡科長、次に帯刀科長と新田研究員、さらに石原科長松原研究員には臨床研究用の低アレルゲン化小麦の栽培を行っていただきました。
同時に、委託栽培先を探していたのですが、小麦の市場取引価格が極めて安いことから、責任をもって栽培すると手を挙げて下さる農家さんとなかなか出会えないでいました。そうした中で、2016年、東京からUターンで益田市に戻ってこられた松本氏により、しまね夢こむぎ®に価値を見いだしていただき、しまね夢こむぎ®の栽培をスタートして頂きました。
「松本氏が地域の子供たちの為に作成されたポスター」
上記のようなの経緯から、松本氏と森田教授が意気投合され、このプロジェクトの道筋が作られてきて今に至ります。
耕作放棄地となった棚田を活用し低アレルゲン小麦の生産を!
低アレルゲン化小麦「しまね夢こむぎ」の大量栽培と実用化の課題は、製品化の途中でアレルゲン(グリアジン)を含む通常小麦が混入することをいかに防ぐかという点です。
そのためにまずは、独立環境下での栽培が必須です。独立環境下での栽培は、島根の強みを活かし、現在使用されていない耕作放棄地となった棚田を活用することで解決することができました。
しまね夢こむぎ」が食の安全を守り、かつ地域の新たな産業となることを期待して
「しまね夢こむぎ」が大量生産でき、この小麦を使った小麦製品が広く流通するようになれば、小麦アレルギーになりやすい体質の人も小麦アレルギーの発症を防ぐことができます。また、現在行っている臨床試験の結果次第では、今は我慢を強いられている小麦アレルギー患者さんも一定量の小麦を食べることができるようになるかもしれません。
私は中国山地の農家で生まれ育ちました。今は島根大学医学部教授になりましたが、中国山地の多くの田畑が衰退し農業が危機に瀕していることを見るにつけ、胸が締め付けられるような思いになります。なんとか昔のような美しい田畑を再興したいという強い思いを持っています。
私たちの開発した「しまね夢こむぎ」を国内で普及することで小麦好きの人々の安全を守り、かつ農業人口の減少した地域の新たな産業となることも期待しています。
松本正人 メディカル工笑代表
島根県立益田工業高校卒業後、シャープ株式会社に入社、27歳で独立し、松本医科(マツモト株式会社)、㈱タケダ医療器材研究所を設立。56歳時、SBIホールディングス㈱を仲介で会社を売却、生まれ故郷(島根)にUターンして「しまね夢こむぎ®」を栽培中。自然豊かな地域資源を活用して儲かる農業に挑戦しています。コロナ下のマイナス思考の時こそピンチはチャンスに切り替えられると信じ、自然と共に「田舎の田舎」である石見地方の「里山」海、山、川の大自然を満喫しながら農業に従事しています。棚田米は非常に美味しいと評価されています。日本百選の棚田にて、美味しく健康志向の全粒粉パンや全粒粉うどんを多くの皆様に食べて頂きたい一心で活動しています。