石見政経通信社、益田タイムス mail:sekisei.times@gmail.com

高津川漁協

鮎のいない高津川
遊魚サービスしない漁協は鑑札料の欺瞞

　高津川は漁協だけのものではない。2年連続清流日本一を誇る高津川に今年はアユが少なく防府市、岩国市、広島市から来た太公望の遊魚者たちは「もう益田の高津川には来ない、鑑札料を返してほしい。何が日本一の清流か!」と不満をぶち明け帰って行った。

　何が原因で今年はアユが少ないのか。高津川のアユに詳しい有識者に尋ねたら漁協が「流下仔魚調査」をしていなく、適切な対応をしていないからだという。
　では「流下仔魚調査」とは何か。その目的と方法を聞いた。それによると、
　アユは川で産卵します。そしてフ化したばかりの小さな魚（仔魚）が、川の流れにのって海へと下っていきます。このときの仔魚を調べるのが流下アユ仔魚調査です。仔魚は海で成長して稚魚となり、さらに大きくなって４月下旬～６月ぐらいに川を上っていきます。そして川で成長し、秋に産卵するのです。

【目的】は、
・アユ仔魚の採集数から、どのくらいのアユが産卵したかを把握し、その資源量を調べます。
・採集した仔魚からは、フ化後どのくらい経っているかを調べます。水量や流速を合わせて考えることで、どこの産卵場からどのくらいの数が流下してきたかがわかります。
・水量とアユ仔魚の採集数から、どのくらいのアユが海へと流下しているかを調べています。このことから翌年の天然資源がどのくらい見込まれるかを予測します。

【方法】は、
　調査は１０日おきに行います。１日の調査は２３時、２時、５時の３回です。この時間に調査を行う理由は、過去の調査から調査地点を流下するアユ仔魚の量が、夜間に多いことがわかっているためです。１回の調査は、流下仔魚ネットを３分間用いる採集を２回繰り返します。
次の具体的な写真を記載する。

鮎漁

　猛暑の中、アユ漁の太公望たちは早朝から高津川に出向くが、一日中竿を担いで収穫は僅か７～８匹前後と聞く。高津川漁協組合の公示資料によると、主要取扱品のアユは10㌧、年間取扱量は合計　166,000千円（通年平均）にあがるとしている。
　しかし、今年のアユ漁はとみに漁量が少なく遊漁者の数も激減している。同漁協は天候異変の為とＨＰで説明しているが、漁民の間では川にアユがいないと言っている。

　さらに、同ＨＰをみると一昨年のアユ稚魚の放流量の半分になっている。因みに、高津川はアユが遡上しない川になりつつある。自然の産卵場が荒廃し、建設機械を入れて造成しないと産卵できないほど川は傷んでいるのだが、行政は何の対応もしない。しかし、「清流日本一」だと喜んでいるが、上澄みの水だけ検査しているから何とかごまかしているようなものだ。下流域だけではなく、中流域でも少し流れのゆるやかな河床はヘドロが溜まっているから、何かのきっかけで一挙に汚染が進むだろう。

　そのうえ、河口では遡上しようとしている稚魚を網エビ漁で一網打尽に捕獲している。以前は網エビ漁はアユ稚魚の遡上時期には高津川漁協が県漁連に禁止の申しいれをしていたが、今は県漁連と高津川漁協と組合長が同人物（いずれも中島謙二県議）なのだから、何時まで経っても何の解決策も出てこないまま清流高津川の死期が近づく。

　昨年の6月、同組合は理事会を開催し、近い将来アユ稚魚の放流は止め、育魚センターは廃止し、企業合理化を進める。さらに、組合の年度決算は12月に仮決算し外部企業に経営委託するという議案が承認されたと言われている。それなら鮎稚魚放流が一昨年の半分の量になっていたとしても不自然ではない。

　しかし、高い鑑札料や組合費を毎年払っている遊漁者や専従漁師はどうなるのか。稚魚を放流するとして県から補助金をもらっている組合としての経営姿勢は不純ではないか。組合員に正確な年度経営計画を示さず、一方的に放流量を激減させ、不漁は天候異変と説明し、数少ない天然遡上の鮎は川口で捕獲するでは組合員を愚弄する行為以外のなにものでもない。さすがに関係者からの苦情、不満が高まっている。

　アユ稚魚放流量は、平成22年度＝152万尾、23年度＝104万尾、24年度は80万尾と次表のごとく激減している。



平成24年度鮎放流状況

これらも原因か
津和野の県道トンネル工事：残土から高濃度ヒ素　高津川漁協「県対策に不安」
7月1日17時3分配信 毎日新聞

　津和野町邑輝の県道の新昭和トンネル（全長９０９メートル、仮称）工事現場での残土の処理方法を巡り、高津川漁協（益田市、喜島仁組合長）が県に安全な残土処理を求め松江簡裁に調停を申し立てている問題で、同漁協は２９日、独自の調査で残土から溶出量基準値（１リットルあたり０・０１ミリグラム）の約１０倍のヒ素が検出されたと発表した。

　漁協側は６日に開かれる第２回調停に調査結果を提出するほか、１０日には県知事あてに要望書を出す予定。

　漁協によると、調査は１２日、県の立ち会いの下、工事現場の掘削残土１７カ所と、近くを流れる高津川の支流・白石川１カ所でサンプルを採取し、県環境保健公社に分析を依頼。その結果、１７カ所中、１１カ所で基準値を上回り、うち２カ所で０・１ミリグラムと基準値の１０倍の高濃度のヒ素が検出された。また、白石川でも０・０１５ミリグラムと環境基準値（０・０１ミリグラム）を超過するヒ素が検出された。
　同組合長は「県はこれまで検査では高濃度のヒ素は検出されていないと言い続けてきたが、これだけ高濃度のヒ素が出た。県の調査のやり方に疑問を覚えるし、ヒ素対策にも不安を感じる」と不信感をあらわにした。

高津川漁協

高津川漁協の内紛再熱

　意味深な内部告発文書出回る

　　配布された怪文書は高津川漁協・可部総務課長の実態から始まり、平成22年度の漁協管理職者の「接待交際費や会議費」などの支出明細、1年間に合計1.249.597円の不明金がが掲載されている。
　また、6頁には元喜島組合長の平成22年度の個人の所有自家用車に同組合が支払った油代552.912円の明細が記されている。
　さらに、9頁には漁協組合理事　喜島仁の代表理事組合長　石川雅基　宛ての意見書の全容。
　11頁には平成23年６月９日付けの、代表監事　入江伸雄　々　斉藤高幸　々　豊田龍三　連記の内部監査について(報告書)が添付されている。

　最終頁には　眞庭大樹職員の実名で、元石川組合長下ろし工作の怪文書は、可部課長から頼まれて私が書きましたと告発している。

　いずれにしても、パートの元職員が辞職をかけて内部告発した形式をとっているが、裏に控える黒幕の実態が徐々に暴露され、その実態が表面化されるであろう。
　また、22年の会計不明瞭金の実態を監査報告しているのに、2代に渡って組合長が処置していないことにも問題があろう。
今までの慣行となっていた「あたる触らず」の問題処置が職員の不満となって現われ、これを利用して役員就任を目論む者、新役員の存在感を堅持したい者、企業に利権をもたらしたい者等々の思惑が交差し、中島新組合体制下でケンゲンガクガクの状態である。

　この際、役員の総辞職を実行して、漁業組合法人の有り様を根本から考え直す時ではなかろうか。職員のしっぽ切りや理事の責任のなすり合いで問題を誇張してはならない。

　いずれにしても、3月18日に行われる総代会迄に執行部はなんらの決断を下さなければならなくなっている。

高津川漁協

　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　



高津川漁協・新組合長に中島県議が就任
石川勝也氏は専務理事に　

　29日、高津川漁協の理事会が開催され新組合長(非常勤)に員外理事の中島謙二氏(島根県議会議員、島根県漁協益田支部長、中島歯科医院長)が決定した。
専務理事には、石川勝也氏が就任。筆頭理事の斉藤氏(柿木)は、前石川組合長の助勢に無力であったと辞任を申し出たが、現時点での筆頭理事の決定はなかった。

　組合長人事の口火を切ったのは益田地区理事のは波佐本氏で、別に候補者もなく中島謙二氏に決定し、筆頭理事も時間をおいて斉藤氏(柿木)の続行とみられる。
実質的には専務理事の、石川勝也氏が経営を全面的に総括し中島組合長は理事会に出席する程度で顧問の域を超越しない程度の業務内容に終始するとみられる。

　海と川の漁協長を兼務しての中島県議が、経営が困窮している高津川漁協の立て直しにどれだけ経営手腕を発揮できるのか疑問視される声も聞くが、経営合理化だけでは改革は絵に書いた餅で終わる。
広域自冶体と流域住民の協力なくして高津川漁協の経営改善は前進しないことは承知のはずだが、職員の削減や販売網の縮小などが噂されているが、高津漁協で川の生産品を販売するようなこともあるまいが、川の漁協のケイケイは皆無に加えて、県との交渉はどうなるのか二足の草鞋どころか三足も四足もの草鞋では大変な重みとなろう。

高津川漁協

高津川漁協補欠理事決まる

　
　前任の組合長の時、高津川漁協は財政再建の目的で「理事の定数削減」を断行した。が新組合長体制ではまた理事の定数を増減した。津和野地区の理事は補欠選挙であるが、その他の地区の理事は定数増員による選挙である。現組合長の出身支部からの増員も疑惑が噂されている。何が目的の増員か?、現組合長も理事会で辞任表明したと言われているが、神田地区の新理事長が次期組合長候補との情報もあるが、同地区では前理事と現組合長の間で先の選挙で申し合わせがあったことも表面化している。理事選挙も違法性を指摘する者もある。

　何はともあれ、高津川漁協は内紛の収まらない企業だ。今回の新理事に海の組合長が川の理事になった。それも現職の島根県県議会議員だ。前の森林組合長の田原県議でも同職を市議に譲った。何と為の理事就任か。只ただ高津川漁協の出資金集めの愚策ではないのか。さらに、鹿足郡の中村県議、コガワグループの溝口武雄氏に特別顧問就任要請が進められているとも聴く。

　高津川漁協の経営はカスリと恐喝の類と指摘した事がある。カスリとは県・市からの助成金(益田市は今年度370万円の助成を決定)と河川工事の迷惑料と称して建設業者から経営助成金を受け取る(違法行為、熊本県球磨川漁協でも違法判例がある)行為で経営をなしており、漁協協同組合の経営収益の本体は生産者と買い受け顧客からの差益によるものであることを認識していない理事をいくら増員しても経営の立ち直しはできない。何故ならば高津川で組合員が獲ったものを高津川漁協の役員が横流しをしていることを長年にわたり黙認している。このことを指摘しないで何の経営立て直し理事会かと常識を疑いたくなる。

　農業従事者の平均年齢は70歳近い、年間120万円以上であれば農業従事者と認定され、戸別補償金を国から貰え、実態は戸主は地方役所に勤め、年寄りが農業に従事し、収穫した作物は半分は自家消費し余ったものを農協に出荷する。戸別補償金は何のための助成金か、今度はTPPに反対して戸別補償金の増額を目論む。原発の助成金で生活していた者が災害で国の助成金で生活する。
金をやるから文句を言うな!の政治手法は地方を滅ぼし、地方から莽草思想政治家は出ない。

　漁協も農業も原発も醜く類似しているように考えるのは本紙ばかりではなかろう。

緊急情報

金の卵を産む鶏を殺す愚(２)

全国で初めての成功事例

　高津川漁協は、昨年から１００％天然遡上のアユの採卵、孵化、中間育成に成功し、放流を開始した。これで、高津川で獲れるアユは天然遡上の形質を持つものだけとなった。アユは、生まれ育った河川で微妙に異なった形質を持ち、他の河川に移入しても抱卵しなかったり、孵化率が低いなどの障害があった。また、移入されたアユは冷水病やエドワジエラ・イクタルリなどの伝染病に弱く、発病率が極めて高い危険が常にあった。それぞれの川で１００％天然遡上のアユの再生産が可能になれば、新たな伝染病が拡大する可能性は非常に低くなる。
　これらの伝染病は人間に感染することはないが、当然罹病したアユは商品にはならないため、すべて破棄することになる。

　しかし、人間でもそうだが、健全な体を維持していれば伝染病にはかかりにくい。アユも慣れた環境で育ったものは健全な体質を維持できる可能性が高く、罹病率はかなり低くなる。このため、天然遡上の地元産アユの産卵、孵化、中間育成ができれば、常に健全なアユの出荷が可能になるのだ。

全国から寄せられる高い評価　

アユの採卵、孵化はそう困難な技術ではないが、１００％天然遡上のアユの捕獲はかなり難しい。なぜなら、日本中の川から１００％天然遡上のアユが姿を消しつつあるからだ。ところが、高津川ではまだ比較的多くの天然遡上のアユが生息しており、これを選別して捕獲することが可能だったからだ。
　また、天然遡上のアユの稚魚は汽水域でしか育てることができない。汽水の塩分濃度や、天然アユの稚魚がどの月齢でどのような餌を採っているいるのかも確たるデータがない中で試行錯誤を重ね、ようやく成功にこぎつけた。

　このように、天然アユの一連の再生産には非常に微妙な技術を要するのだという。全国の河川で同様の試みが行われているのだが、完全に成功したのは高津川漁協が最初だという。

　このため、昨年から受精卵を江の川へ出荷し、これから江の川では１００％高津川産の天然アユを放流することが可能になった。このため、昨年は「最後の清流」で有名な四万十川の３漁協から総勢６０名、同じく高知県の仁淀川漁協からも視察に訪れている。これからも、しばらくは視察ラッシュが続きそうだ。

　これまで多くの苦労を重ねてきた田中センター長は、「これでようやく持続可能なアユの再生産が可能になった。今までで多くの研究開発費をつぎ込み、高津川漁協の『金食い虫』と言われてきた育成センターが、これからは儲け頭になる可能性が高い。」と意気込む。

　アユの生態を知りつくし、河川環境の保全に取り組む田中センター長の高い技術と情熱は、全国の関係者から熱い注目を浴びている。島根県水産技術センターも高津川を「アユ資源増殖のモデル河川」に指定し、資源管理方策の共同研究を行うなど今後のアユ増殖に大きな期待を寄せている。

　素人の新組合長や自己保身だけの目先欲で右往左往する理事に、この実態が理解できているのだろうか。聞くところによると、同センターの縮小計画、田中センター長の更迭も検討されはじめているという。

　金の卵を産むというヒヨコが、ようやく金の卵を産み始めた鶏になった途端に絞め殺して食べてしまう愚だけは阻止したいものだ。
　

緊急情報！

金の卵を産む鶏を殺す愚

　金の卵とは、「自然の恵み」である。金の卵を産む鶏とは、「持続可能な自然環境」である。

　かつて、高津川からは、地元の古老の表現を借りれば「ウジのようにアユが湧いて出ていた」という。誰もが貧しい時代、夕食のおかずがなければ、子供でも簡単に川でアユやウナギ、川エビを獲ってこれていた時代があったのだ。

　このような時代には、誰も環境の維持が必要などとは思いもしなかった。だから何もしなかった。川で洗濯をし、野菜くずや魚のアラ、残飯を川に放っても誰も咎める者はいなかった。洗濯をするそばにも大きなアユが元気に泳いでいたし、魚のアラはウグイやカニの絶好の餌だったから、またたく間にきれいに骨だけになった。

　アユは、秋風が冷たくなったころ、少しまとまった雨が降ると勝手に大挙して下流を目指し、いつの間にか産卵し、いつの間にか孵化して海に出て、早いものは２月の末ごろから再び川に戻ってきていた。
　アユは、比較的浅い場所で産卵するため、鷺や川鵜の腹を満たした。人間も、これに負けじと「子持ちアユ」を釣りあげ、アユの卵でウルカをつくり、親アユは遠火で焼いて正月の雑煮のダシにしていた。

　それでも、毎年同じくらいの数のアユが同じころに湧いて出てきていたのである。

アユの経済効果　

　急激な環境の悪化に伴い、年ごとの差異はあるもののアユの漁獲は減りつつある。このままでは自然環境の中で、アユの再生産を持続することは困難になりつつある。実際に、かつては高津川と並ぶアユどころだった江の川でも天然遡上のアユはほぼ壊滅状態となっている。豊かな自然を売り物にする島根県で、他の県内河川からアユの便りを聞いたこともないのが現状だ。

　しかし、高津川もこのまま放置すれば早晩アユの棲めない川になる。最近はようやく知られるようになったが、年々天然アユの産卵はできなくなっている。誰がつくったわけでもない、豊かな自然が数百年かけてつくりあげた産卵場が失われつつあるのだ。このため、アユの産卵が始まる初秋になると、川にブルドーザーやバックホウなどの建設機械を入れて均し、遠くから産卵に適した小砂利を搬入しなければならなくなっている。

　益田市長の「施政方針」のなかに、「高津川を主とした内水面漁業振興に取り組んでまいります」と書かれてはいるが、このような地道な取り組みへの支援はほとんどない。


　アユは、サケと並んで非常に生産性の高い魚である。高橋勇夫さんの「ここまでわかったアユの本」に、河川生態学の分野で著名な水野信彦（愛媛大学教授）の話が載っている。これによると、「川幅が２０ｍほどの中流域（石が大きくアユの生息に好適）では、１ｋｍあたり１億円程度の漁獲高をあげることができる」ということがある報告書に書いているとのことだ。無論、これは理論値で、実際にはここまでの漁獲は無理だということも書いてあるが、この数分の一だとしてもかなりの水揚げは可能だろう。

　平成２１年に島根県の水産試験場が「高津川におけるアユの適正収容量」の調査を行っている。これによると、標準的個体（６０ｇ・１８～２０ｃｍ）で約３１６トンのアユの漁獲が可能で、現在の漁協が販売している１ｋｇの価格が８,０００円だから、約２５億円の売り上げが見込めることになる。

　この漁獲高は、益田市内の農産物の出荷額の５０％に相当する。しかし、農業の維持には膨大なコストがかかる。それは国や県、市町村の農業関連の公務員数、農協の職員数と、内水面漁業に携わる公務員、高津川漁協の職員数と比較すれば一目瞭然だろう。農家への戸別保障、各種の助成制度の金額とは比較すらできない。内水面漁業者への直接的な公的支援は皆無だからである。

　さて、年々深刻化する河川環境の悪化だが、この原因の解明は本稿の趣旨ではないので別の機会に譲る。
　本題は、この逆境の中で、高津川漁協の天然遡上アユの保全技術は、全国トップクラスのレベルにあることを多くの人に認識してもらうことにある。（続く）
　
　　

高津川漁協

経営組織の体を成さない高津川漁協
理事長更迭で内紛の火種が暴露

　








　高津川漁業組合の理事長がまた変わった。先々代の理事長は日興建設から、先代はドサクサ理事会での唐突な選任。今度はまた大畑建設色の強い理事長の就任、と首相よりは任期は長いが他の団体組織よりは短命である。

　何故、最近の理事長は短命なのか。これは単に理事長に経営能力が欠如していたという以外には理由は見当たらない。経営能力の欠如とは何か。それは経営団体としての体制を構築できていないことに起因する。

1.組合員は全員漁業者ではない。
2.漁獲したものを組合に収める義務はない。(組合の主たる経営は現業者と消費者との間に生じる歩合金によって運営される)
3.県からの補助金と公共工事請負業者が納める協力金による依存度が大きい。

　こんな組合組織の運営がはたして正常なのか。歴代の理事長も理事会でも審議されたこともなければ、審議しようともしなかった。要するに、歴代の理事長は基本的な経営理論さえ持ち合わせていなかったことが原因であろう。

　理事会の上に地区総代がいて、これが企業で言う代表取締役社長である。代表権を持つ総代が地区ごとに設置され、理事会は会社の管理職である。要するに、理事長は決定権を持っているように見られるが、最終的な決定権は総代会が固守している。しかしながら、総代は責任は持たない。組織上ではこのような不可解なシステムである。

　最大の欠点は、前述の２項である。漁協が膨大な数の稚魚を毎年100万匹以上も高津川に放流する。その経費は県の内水面運営補助金である。成長した鮎を現業者である川漁師、つまり組合員が漁をする。(写真=元気いっぱいに泳ぎ回る稚アユ・漁協あゆ中間育成センター)

　しかし、収穫しのしたものを漁協に収めなくてもよい。近隣の旅館や料亭に収め買ってもらう。このことで漁協には売上利益(歩合金)は発生しない。この横流しを漁協は公然と認め、不自然であるということに感知していない。

　何ともおめでたい経営ではないか。商店主が従業員の商品横領を公認しているようなものだ。公認しているのは漁協の上の総代でもある。また、総代は組合員であり漁師なのだ。これで、今年も漁協の売り上げは低下したと嘆く。

　さらに、漁場にも縄張りがあって、これを総代が仕切る。まさにヤクザの縄張りだ。これに違反したとして、組合員としてのモラルがない、節操に欠ける違反漁業だと問題にする。
　公共事業の請負業者には川が濁る漁期だとイチャモンつけて迷惑料を高くする。迷惑料を払わない業者には同意しない。法的に迷惑料を取ることができないので放流協力金名目で徴収する。もらい物と恐喝で生計を立てる高津川暴力団事務所だ。

　ところが、公害の発生が顕著な工事でも、県からの補助金をもらっている関係で腰が引ける。工事に対し漁協が同意しない場合は、県は補助金を撤回すると脅す。あるいは、必要な魚道工事の予算も付けない。
　理事長は、組合員に対し公害工事には同意しないと公言するが、県と業者との圧力に屈し裏取引工作を模索する。つまり八百長(八百屋の長兵衛)である。

　これが発覚するか、あるいは圧力に反発する理事長は更迭される。これが理事長短命のシナリオである。いうなれば上を向いて唾を吐く経営の実態である。

　しかし、高津川は漁協や土建屋の米ビツではない。掛けがえのない圏域住民全体の宝である。広域経済活性の起爆剤でもある。これを忘れた漁協運営は許されないことを、新任の理事長、組合員は肝に銘じるべきだ。
　また、河川管理者である国土交通省、島根県も防災対策は無論だが、持続可能な環境保全もまたきわめて重要な役割であることを忘れるべきではないだろう。

喜島組合長解任！

またまた漁協の内紛









高津川漁協　喜島組合長解任

　３月１３日に開催された役員会で行われた選挙で、現組合長の喜島仁氏は、１０対１の大差で、新しく理事に就任した元県職員(益田県土木所長)の石川雅基氏(64、益田市白岩町)に敗れた。

　喜島氏も初めて理事に就任した平成２０年３月２０日の役員会で行われた組合長選挙で、当時の石川組合長に大差をつけた経緯がある。

　その後、大畑建設が受注したトンネル工事の「砒素疑惑」を追及し、島根県との関係もかならずしも良好とはいえなかった。

　現在も津和野町の「新昭和トンネル」から排出された残土に含まれている砒素の不適切な処理の調査中、安全基準の２００倍近い砒素が検出された吉賀町の「恋路山トンネル」での砒素処理について、国公害等調整委員会の公害調停中であり、その決着を見ないままの解任となった。

　大畑建設の不適切な砒素処理は、長沢第一トンネル」でも行われていたことが本紙の調査で発覚。島根県は許容基準を超える砒素の存在を知りながらこれを黙認していたと思われる。

　先日、入札が行われた「長沢第2トンネル」も大畑建設外2社のＪＶ（特別企業共同体）が落札した。このトンネルも先の第1トンネルとまったく同じ地質であることが公表されている。専門家も間違いなく砒素の出る可能性が高いと指摘しているにもかかわらず、島根県は「砒素が検出されたらその処理を行う」と、砒素処理対応はまったく考慮しておらず、予算も含まれていない。

　この工事の着工を控え、障碍になる可能性の高い喜島氏の排斥を目論んだという推測もあながち的外れとはいえないのではないか。

複合した解任理由？

　一方で組合員資格をはく奪除された元理事が、喜島氏を相手取った組合員資格はく奪無効の訴訟で喜島氏の敗訴が確定したことも解任理由の一つとする見方もある。
　さらに、鮎の産卵場造成費を捻出するため、組合員に一万円ずつの追加出資を求めたが、その際、詳細な説明がなかったという組合員の不満の声もあった。
また、中間育成場の整備等に多額の借り入れを行うにあたり、理事への説明が不十分であったということもある。

　しかし、河川環境の維持に積極的に取り組んでいたことも事実で、高津川産の鮎の増産にも成功し、江の川漁協へ出荷するなど鮎の人工ふ化、中間育成技術は高く評価されつつあった。最近は、鮎どころで有名な内水面漁協からの視察も増えつつあった。

　いずれにしても、高津川はこの圏域の宝であり、これ以上の水質の低下は許されない。新しく就任する組合長は、防災対策工事と河川環境の保全が両立できるよう、客観的な視点で精一杯励んでもらいたい。

　新組合長の経歴は、益田県土木所長を退任後は大畑建設の嘱託営業からの組合長就任ということで、県土木=大畑建設ラインが顕著になったことが同組合員にどう影響するのか懸念する声もある。
　県議、首長などの公職選挙法には公共事業請負業者の代表者及び役員も就任することはできないとしている中で、漁協の選挙は公職選挙法には抵触しないが、これに順ずる認識は必要である。重要なことは高津川は益田市、鹿足郡広域の生活環境，産業振興の起爆剤的重要資源である。
今回の県議選でもリーフレットのアピールポイントになっている。要するに公民の財産でもある。

　一企業や集団が私物化するような環境にあっては広域振興対策は負の財産になる。このような状況にならないことを願う。

　

組合長辞任

石川組合長辞任、喜島仁理事が就任
職員の切望が結実、理事会もこれを承認

長沢トンネル工事の工事残土から基準度を超える砒素が検出されたことで、発注者の島根県は同工事の中止を発表した。高津川流域住民は同漁協の対応を注視していたが、３月20日に開催された総会でこのことに触れる議論はなかった。

そもそも、組合員をはじめ、流域住民に重大な影響を与えかねないこうした議題が、総会の席で議論にならないということ自体不自然なことではないのだろうか。

もちろん、住民説明もなく、理事会への報告もなく水面下で進められていた、益田興産の三星採石場で津和野の新昭和トンネル工事から排出される砒素を含んだ工事残土を洗浄する、といったことに関することの議論もなかったというのだから、なんとも奇妙な話である。

しかし、このことに関しても、正月の初寄り合いなどで、「採石場がある三星自冶会が同意すれば組合としても同意する。」という石川組合長の発言が取りざたされ、組合長としての指導力に欠けた発言であり、組合員の意見集約もしないで、個人が勝手に組合としての意思表示をすることは容認できない、との意見が飛び交っていた。

また、総会前に、石川組合長のワンマン経営、特に恣意的な人事をちらつかせたパワハラには耐えられないと、秘かに理事らに相談する職員もいたこともあって、何人かの理事・組合員が署名押印した「石川組合長の辞任を要求する陳情書」を総会で取り上げるよう組合に提出していた。

しかし、３月20日に開催された総会では、事前に石川組合長の意図を受けた第三支部長が、緊急動議として滔滔と組合長擁護の発言を行い、なぜか事前に提出されていた石川組合長の辞任を要求する「陳情書」も議題に取り上げられることはなかった。

総会の後行われた「理事会」でも、数人の理事から組合長の辞任を要求する「陳情書」が無視されたことに関する発言はあったものの、「既に決着済みである！」という一部理事の発言で、本格的な議論にはならず、雑談程度で終わった。

この理事会の内容を知った同職員らは、近日中に開催される予定の臨時理事会までに理事の説得に奔走。理事会の前日までに理事11名中9名の説得にこぎつけ、石川組合長の辞任を求める「請願書」に署名捺印し、理事会の議題とすることとなった。


同理事会は今月末に開催され、島根県から指摘されていた「蟠竜湖の漁業権取得にかかる定款変更」の議題を終え、石川理事長辞任要求の議事に入り、組合長の退席で議事は進行した。

理事会の要請を受けて、職員7名中、管理職を含む5名が「辞表」を携えて理事会に出席。理事にこれまでの理不尽な人事管理の経過などを訴えた。なかには涙しながら、現状のままでは辞職せざるをえない現状を説明した女性職員もいた。

しかし、上領議長は、「石川組合長が今後は職員の意向に耳を傾ける」と言ったら現組合長続行をお願いしたい、などと発言し、議長の発言として相応しくないと出席理事から叱咤される一幕もあったが、理事会は基本的に石川組合長に対して辞任要求をすることを決議した。

その後、再び入室した石川組合長に議事経過を伝える途中、組合長は自ら「辞める」と捨てゼリフを残して席を立ち、事実上の自主辞任ということで幕を閉じた。

後任には斎藤理事ら理事多数の推薦で「喜島仁理事」（62歳）が代表理事新組合長に就任した。

喜島新代表理事組合長は就任の抱負として、「『職員の待遇改善』、『定款の処理等登記上の問題』、『流域工事保障交渉の建設協会委託の見直し』、『砒素対策」、『研究補助金の獲得』、『販売システムの構築』『風評被害』等々の問題を直ちに解決していかなければならない。このため、順次職員や組合員の意見をよく聞き、理事会にはかりながらこれに対応していく。」と抱負を語り、最後に、要は組合員をはじめ、流域住民全体の利益を最優先としながらも、「日本一きれいな高津川」は圏域全体の宝であり、環境の保護保全に全力を尽したいとしめくくった。




因みに、同組合の現在組合員は、2,092名（遊漁者を含めた年間操業延人数　約8万人）
主要取扱品　 　　あゆ　16ｔ　　　モクズガニ　3.5ｔ　　　　うなぎ　1.5t　　/年間
年間取扱量 　　　鮮魚販売　　　　　　４２，０００千円（鮮魚あゆ、うなぎ、モクズガニ他）
　　　　　　　　　　　加工品販売　　 　　２９，０００千円（冷凍あゆ、うるか、焼きあゆ、甘露煮他）
　　　　　　　　　　　指導事業　　　　　　９０，０００千円（賦課、行使料、遊漁料、補助金、補償料　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　他）
　　　　　　　　　　　自営事業　　　　　　　５，６００千円（自営種あゆ、掴み取り用あゆ他、蟠竜湖　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　展示品）
　　　　　　　　　　　その他　　　　 　　　　３，４００千円
　　　　　　　　　　　合計　　　　　　　　１７０，０００千円