2008年 05月 29日
ヒ素に関する取り扱い規定(4) |
健康被害だけが「被害」ではない
今回、島根県が策定しようとしている「公共工事における自然由来のヒ素に関する取り扱い」規定にも、一番の被害者である地元住民への配慮はほとんどない。
島根県は、住民に「健康被害」が起きない限り、被害者ではないと思っているようだが、実態はそんなものではない。今まで先祖代々管理してきた田圃や畑に積まれた掘削ズリに砒素が混じっていることを初めて知って、少なからぬショックを受けている人たちがいる。風に舞う粉じんに日々不安を覚える人たちがいる。
混入している砒素の濃度がどうとかこうとかという問題ではない。今まで信頼していた行政に裏切られたという思いがストレスを募らせる。役人や学者にはこれが理解できていないのだ。
島根県の杜撰な対応で、不安な毎日を送る地元住民の方と接する機会を得たので報告する。
昨日、地元から連絡のあった「粉じん公害」の現場を見に行った。連絡をいただいたMさんを訪ねると、近所の方も集まってこられた。
信頼が地に堕ちた原因とは
Mさん 「粉じんがひどいのだが、どこに相談しに行けばよいのか判らない。それで、今回の砒素に関して正しい情報を知ることができるのは『益田タイムズ』だけだと他から聞いたので連絡させてもらった。」
本 紙 「知っていることなら何でも話します。しかし、粉じんの相談なら県にされたらどうですか。なぜ本紙にされるのですか?」
Mさん 「ここの田圃にトンネル工事から出る残土を置かせてほしい、と県が言ってきたときには、『砒素』のヒの字も言わなかった。ところが、ある日突然、その残土にブルーシートがかけられた。なぜそんなことをしたのか訳がわからなかった。その後しばらくして益田県土事務所から職員が3人来て、近所の住民を集めて説明会をやった。そのとき初めて残土に砒素が入ってるということを聞いた。」
女 性 「そうそう!砒素が出るとは一切聞いてなかった。工事が止まってから初めて聞いた。戸を開けていると粉じんが中まで入ってくる。近くで作っている田圃にまで粉じんが降りかかる。風が吹けば粉じんが舞う。砒素が混じっていると思うと安心して暮らせない。」
本 紙 「県の職員は、説明会で何を説明したのですか?」
Mさん 「ここの砒素はそう高い濃度ではない。体重70キロの人が、毎日7リットルの水を70年間飲んでも健康被害が出るようなものではないという説明だった。」
本 紙 「それならほとんど無害ということじゃありませんか。」
Mさん 「そうそう。それならなんでシートをかけるのか。ここにおる者はこれから70年も生きることはない。すぐに『安全宣言』でも出せ!と言ったら、『万が一ということもあるので・・・』と県の職員が答えた。それで、『あんたらは地元民の身になって考えたことはあるのか』と言ったら、黙っていた。住民をバカにするのも程がある。あれからここらの者は県のいうことは一切信用せんようになった。」
本 紙 「なるほど、そういうことですか。実は、私も取材を進める内に、島根県の言うことが信用できなくなってきましたので気持ちは解ります。このトンネル工事をする前に、地質調査をやっています。専門家に言わせると、それを見れば砒素が出るのは十分予測できると言っていますから、県は砒素が出るのは知っていたようです。」
Mさん 「それが本当なら許せんな!」
本 紙 「益田タイムズを読んでもらえば解ります。おそらく工事をしている作業員も知っていたはずです。今度、工事再開後の掘削ズリに砒素が入っているかどうかは目で見て判断すると言っていますからね。ただ、会社にも作業員にも県からきつく緘口令が出ていたでしょうから、なかなか言えなかったんだろうと思います。」
Mさん 「それはそうかもしれんな」
本 紙 「実際のところ、確かにすぐに健康被害が出る濃度ではないと思います。ですから、あまり神経質になる必要はないと思います。本紙がこの砒素騒動の特集をしているのは、島根県の住民感情を逆なでするような隠蔽体質を批判するためです。いくら隠蔽してもこんな情報は必ず表に出てきます。現に出てきました。そして『風評被害』が広がっていきます。その損害は少なくありません。また、それを打ち消すために、また膨大な費用をかけることになります。」
Mさん 「なるほど、そのとおりじゃなぁ。それで、これからここの者はどうすればよいのか?」
本 紙 「まぁ、皆さんで判断される以外にありませんが、納得できるまで県と協議される方がいいでしょう。粉じん被害のことも県と協議される以外にはないですね。本紙は記事にはしますが、どうすることもできません。」
Mさん 「それが信用できんから困る。また、県が住民をバカにするようなら相談に乗っていただきたい。」
本 紙 「何時でも連絡してくだされば伺います。」
(このレポートは本紙の捏造ではない。実際に取材したとおりの会話をほぼ忠実にまとめたものである。Mさんをはじめ、地元住民の皆さんは、実名を出しても構わないと言われたが、今回はイニシャルを記した。)

島根県は、住民に「健康被害」が起きない限り、被害者ではないと思っているようだが、実態はそんなものではない。今まで先祖代々管理してきた田圃や畑に積まれた掘削ズリに砒素が混じっていることを初めて知って、少なからぬショックを受けている人たちがいる。風に舞う粉じんに日々不安を覚える人たちがいる。
混入している砒素の濃度がどうとかこうとかという問題ではない。今まで信頼していた行政に裏切られたという思いがストレスを募らせる。役人や学者にはこれが理解できていないのだ。
島根県の杜撰な対応で、不安な毎日を送る地元住民の方と接する機会を得たので報告する。
昨日、地元から連絡のあった「粉じん公害」の現場を見に行った。連絡をいただいたMさんを訪ねると、近所の方も集まってこられた。
信頼が地に堕ちた原因とは
Mさん 「粉じんがひどいのだが、どこに相談しに行けばよいのか判らない。それで、今回の砒素に関して正しい情報を知ることができるのは『益田タイムズ』だけだと他から聞いたので連絡させてもらった。」
本 紙 「知っていることなら何でも話します。しかし、粉じんの相談なら県にされたらどうですか。なぜ本紙にされるのですか?」
Mさん 「ここの田圃にトンネル工事から出る残土を置かせてほしい、と県が言ってきたときには、『砒素』のヒの字も言わなかった。ところが、ある日突然、その残土にブルーシートがかけられた。なぜそんなことをしたのか訳がわからなかった。その後しばらくして益田県土事務所から職員が3人来て、近所の住民を集めて説明会をやった。そのとき初めて残土に砒素が入ってるということを聞いた。」
女 性 「そうそう!砒素が出るとは一切聞いてなかった。工事が止まってから初めて聞いた。戸を開けていると粉じんが中まで入ってくる。近くで作っている田圃にまで粉じんが降りかかる。風が吹けば粉じんが舞う。砒素が混じっていると思うと安心して暮らせない。」
本 紙 「県の職員は、説明会で何を説明したのですか?」
Mさん 「ここの砒素はそう高い濃度ではない。体重70キロの人が、毎日7リットルの水を70年間飲んでも健康被害が出るようなものではないという説明だった。」
本 紙 「それならほとんど無害ということじゃありませんか。」
Mさん 「そうそう。それならなんでシートをかけるのか。ここにおる者はこれから70年も生きることはない。すぐに『安全宣言』でも出せ!と言ったら、『万が一ということもあるので・・・』と県の職員が答えた。それで、『あんたらは地元民の身になって考えたことはあるのか』と言ったら、黙っていた。住民をバカにするのも程がある。あれからここらの者は県のいうことは一切信用せんようになった。」
本 紙 「なるほど、そういうことですか。実は、私も取材を進める内に、島根県の言うことが信用できなくなってきましたので気持ちは解ります。このトンネル工事をする前に、地質調査をやっています。専門家に言わせると、それを見れば砒素が出るのは十分予測できると言っていますから、県は砒素が出るのは知っていたようです。」
Mさん 「それが本当なら許せんな!」
本 紙 「益田タイムズを読んでもらえば解ります。おそらく工事をしている作業員も知っていたはずです。今度、工事再開後の掘削ズリに砒素が入っているかどうかは目で見て判断すると言っていますからね。ただ、会社にも作業員にも県からきつく緘口令が出ていたでしょうから、なかなか言えなかったんだろうと思います。」
Mさん 「それはそうかもしれんな」
本 紙 「実際のところ、確かにすぐに健康被害が出る濃度ではないと思います。ですから、あまり神経質になる必要はないと思います。本紙がこの砒素騒動の特集をしているのは、島根県の住民感情を逆なでするような隠蔽体質を批判するためです。いくら隠蔽してもこんな情報は必ず表に出てきます。現に出てきました。そして『風評被害』が広がっていきます。その損害は少なくありません。また、それを打ち消すために、また膨大な費用をかけることになります。」
Mさん 「なるほど、そのとおりじゃなぁ。それで、これからここの者はどうすればよいのか?」
本 紙 「まぁ、皆さんで判断される以外にありませんが、納得できるまで県と協議される方がいいでしょう。粉じん被害のことも県と協議される以外にはないですね。本紙は記事にはしますが、どうすることもできません。」
Mさん 「それが信用できんから困る。また、県が住民をバカにするようなら相談に乗っていただきたい。」
本 紙 「何時でも連絡してくだされば伺います。」
(このレポートは本紙の捏造ではない。実際に取材したとおりの会話をほぼ忠実にまとめたものである。Mさんをはじめ、地元住民の皆さんは、実名を出しても構わないと言われたが、今回はイニシャルを記した。)
by nakayama-yutaka
| 2008-05-29 00:23
| 砒素騒動
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