2008年 05月 23日
ヒ素に関する取り扱い規定(1) |
「砒素」がキーワードの連想ゲーム

度重なる「砒素騒動」で、さすがの島根県もようやく「公共工事における自然由来のヒ素に関する取り扱い」規定の策定をするようだ。
先の5月14日に益田で開催されたヒ素対策検討委員会で配布された資料の中で触れているもので、最初にこの取り扱い規定を策定する目的が書いてある。
目 的
○R488号長沢トンネルでのヒ素問題発生
・搬出された汚染土壌に対する地元住民生活への不安
・対応方法を決定するまで工事の中断等
○公共工事におけるヒ素の遭遇リスク
・ 笹ヶ谷鉱山などヒ素を産出した鉱山が県内に点在、また、火成岩の貫入に伴う熱水変質によりヒ素が形成(長沢トンネル、新昭和トンネル)
・新第三紀~完新世にかけての海底堆積物中にもヒ素が濃集(グラントワ)
○「公共工事における自然由来のヒ素に関する取り扱い」の策定
環境保全上の問題を生じることなく、安全安心で円滑な公共事業を実施するため、工事発注者や現場担当者がヒ素への的確な対応ができるようにマニュアルを策定する。
●公共工事におけるヒ素に対しての基本的考え方
●ヒ素に関する基礎的情報
●ヒ素に遭遇した場合の対応方法
●事前調査の実施
いかにも急いで作成したと思われるまとまりのない内容だが、上記のような目的が書かれている。(原文のママ転載)
次に、策定方法が書いてある。
策定方法
○公共工事におけるヒ素対策取り扱い検討ワーキングによる作成
・環境生活部(環境政策課、産棄物対策課)
・農林水産部(農村整備課、農地整備課、森林整備課、農畜産振興課)
・土木部(技術管理課、道路維持課、道路建設課、河川課、砂防課)
○ヒ素の専門分野について、島根大学総合理工学部石賀裕明教授よりご教示
○国道488号長沢トンネルヒ素処理検討委員会による意見聴取
最後にスケジュールが書いてある。
スケジュール
○H20年度暫定版(H20.5)
平成20年度発注予定工事へ早急に対応するため、暫定的に取り扱いを決める。
○H21年度本格施行(H21.4)
平成20年度の実績を踏まえ、対応方法や環境部局との手続き関係等を定める。
砒素がキーワードの連想
この後、公共工事における自然由来のヒ素に関する取り扱いの素案が書かれているのだが、この内容については追々ふれるが、ここまで読んで何か引っかかるものがあった。
その一つが、公共工事におけるヒ素の遭遇リスクのところに書いてある「笹ヶ谷鉱山などヒ素を産出した鉱山が県内に点在、また、火成岩の貫入に伴う熱水変質によりヒ素が形成(長沢トンネル、新昭和トンネル)」という部分である。
これを読みながら、思い出したのは、4月9日に松江(市町村振興センター)で開催された「第2回ヒ素対策検討委員会」で配布された資料、「ヒ素濃度10倍値に関する考察」(資料4)の以下の内容である。
ヒ素溶出量・含有量が特に多い搬出先Bの地質的特性(搬出先Bは、長沢町の畑)
長沢トンネル№25~32付近の掘削土である。この区間は、断層に挟まれており、亀裂の発達した頁岩である。
トンネルズリを観察した結果、わずかに緑色を帯びている蛇紋岩である。その他、熱水変質を受けているものと考えられる。そのため、熱水作用によってヒ素が濃縮している可能性がある。
また、他の区間から搬出された掘削土の検査データと比較しても、明らかに高い数値を示している。
「熱水作用でヒ素が濃縮している可能性がある」というのは、つまり頁岩に花崗岩が貫入したときの熱変成作用によりホルンフェルス化しているということだ。
5月14日に益田で開催されたヒ素対策検討委員会で配布された資料の中にある、長沢トンネルの地質縦断面図を見ると、すべての掘削する場所は「泥質ホルンフェルス」もしくは「含礫泥質ホルンフェルス」であることが判る。
このあたりの地質を熟知している専門家が見れば、高い確率で高濃度の砒素が検出されるのは予測しえたはずだ。
それで、まだ思い出したことがある。

度重なる「砒素騒動」で、さすがの島根県もようやく「公共工事における自然由来のヒ素に関する取り扱い」規定の策定をするようだ。
先の5月14日に益田で開催されたヒ素対策検討委員会で配布された資料の中で触れているもので、最初にこの取り扱い規定を策定する目的が書いてある。
目 的
○R488号長沢トンネルでのヒ素問題発生
・搬出された汚染土壌に対する地元住民生活への不安
・対応方法を決定するまで工事の中断等
○公共工事におけるヒ素の遭遇リスク
・ 笹ヶ谷鉱山などヒ素を産出した鉱山が県内に点在、また、火成岩の貫入に伴う熱水変質によりヒ素が形成(長沢トンネル、新昭和トンネル)
・新第三紀~完新世にかけての海底堆積物中にもヒ素が濃集(グラントワ)
○「公共工事における自然由来のヒ素に関する取り扱い」の策定
環境保全上の問題を生じることなく、安全安心で円滑な公共事業を実施するため、工事発注者や現場担当者がヒ素への的確な対応ができるようにマニュアルを策定する。
●公共工事におけるヒ素に対しての基本的考え方
●ヒ素に関する基礎的情報
●ヒ素に遭遇した場合の対応方法
●事前調査の実施
いかにも急いで作成したと思われるまとまりのない内容だが、上記のような目的が書かれている。(原文のママ転載)
次に、策定方法が書いてある。
策定方法
○公共工事におけるヒ素対策取り扱い検討ワーキングによる作成
・環境生活部(環境政策課、産棄物対策課)
・農林水産部(農村整備課、農地整備課、森林整備課、農畜産振興課)
・土木部(技術管理課、道路維持課、道路建設課、河川課、砂防課)
○ヒ素の専門分野について、島根大学総合理工学部石賀裕明教授よりご教示
○国道488号長沢トンネルヒ素処理検討委員会による意見聴取
最後にスケジュールが書いてある。
スケジュール
○H20年度暫定版(H20.5)
平成20年度発注予定工事へ早急に対応するため、暫定的に取り扱いを決める。
○H21年度本格施行(H21.4)
平成20年度の実績を踏まえ、対応方法や環境部局との手続き関係等を定める。
砒素がキーワードの連想
この後、公共工事における自然由来のヒ素に関する取り扱いの素案が書かれているのだが、この内容については追々ふれるが、ここまで読んで何か引っかかるものがあった。
その一つが、公共工事におけるヒ素の遭遇リスクのところに書いてある「笹ヶ谷鉱山などヒ素を産出した鉱山が県内に点在、また、火成岩の貫入に伴う熱水変質によりヒ素が形成(長沢トンネル、新昭和トンネル)」という部分である。
これを読みながら、思い出したのは、4月9日に松江(市町村振興センター)で開催された「第2回ヒ素対策検討委員会」で配布された資料、「ヒ素濃度10倍値に関する考察」(資料4)の以下の内容である。
ヒ素溶出量・含有量が特に多い搬出先Bの地質的特性(搬出先Bは、長沢町の畑)
長沢トンネル№25~32付近の掘削土である。この区間は、断層に挟まれており、亀裂の発達した頁岩である。
トンネルズリを観察した結果、わずかに緑色を帯びている蛇紋岩である。その他、熱水変質を受けているものと考えられる。そのため、熱水作用によってヒ素が濃縮している可能性がある。
また、他の区間から搬出された掘削土の検査データと比較しても、明らかに高い数値を示している。
「熱水作用でヒ素が濃縮している可能性がある」というのは、つまり頁岩に花崗岩が貫入したときの熱変成作用によりホルンフェルス化しているということだ。
5月14日に益田で開催されたヒ素対策検討委員会で配布された資料の中にある、長沢トンネルの地質縦断面図を見ると、すべての掘削する場所は「泥質ホルンフェルス」もしくは「含礫泥質ホルンフェルス」であることが判る。
このあたりの地質を熟知している専門家が見れば、高い確率で高濃度の砒素が検出されるのは予測しえたはずだ。
それで、まだ思い出したことがある。
by nakayama-yutaka
| 2008-05-23 22:55
| 砒素騒動
|
Trackback
|
Comments(0)
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。
ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。