2008年 04月 09日
続・迷える「落としどころ」 |
続・迷える「落としどころ」
正直が一番
前回は、津和野の新昭和トンネルのことを書いた。この落としどころを探すのもここまでねじれると難しくなる一方だ。
しかし、それでも元々土質調査を行い、基準値を上回る砒素が検出されたことを公表しているのだから、地元で最初に合意してもらった処理方法を実施すれば、採石場周辺の地元説明会を一から始めるよりは早い。
当然のことながら、砒素処理方法を事前に何の協議もなく勝手に変更した謝罪は行うべきだが、正直に事情説明をすれば理解してもらえる可能性は高い。
大学教授や漁協まで抱き込んで、少なからぬ利権を一手に貪ろうとした連中は内心穏やかではないだろうが、こんな茶番が何時までもバレないですむはずがない。今までのような甘い時代は終わったことを知るべきよい機会だ。
比類のない性質の悪さ
さて、問題は長沢トンネルである。
このトンネル工事は、砒素など検出されなかったという前提で出発している。ところが、本紙の独自調査で掘削ズリから砒素が検出されたことが明らかになった。
島根県は、住民から通報があって、改めて調査を行ったら砒素が検出されたと新聞は書いているが、本紙の読者には今さらそんな作り話を信用する人はいないだろう。
最初からとは言わないが、途中で基準値を上回る砒素が含まれていることは百も承知で工事を進めていたのだ。ゼネコンの専門技師が、掘削ズリを見て高濃度の砒素が含まれているかいないかも判断できないはずがないと専門家は言う。
本紙記者が、専門家にこの掘削ズリの写真を送っただけで「間違いなく砒素を含んでいる。」と言ったから検査機関に試料を送ったのだ。そうでなければ、高い金まで払って検査依頼などするはずがない。
そして、本紙が動かぬ証拠を突き付けたから島根県は体裁を繕ったに過ぎないのだから、新昭和トンネルよりも性質が悪い。始末に負えないとは正にこのことだろう。
住民不在の「砒素対策」
島根県は、また例の教授を使って素人を集めた「検討会議」を立ち上げ、その委員会に「砒素が溶出しにくい掘削ズリなので、工事続行に問題はない」と認めてもらったなどといい加減なことを言って世間をたぶらかしているが、内実はそうではない。
要するに、グラントワでも多額の税金を使って過剰な処理をして利権屋に儲けさせた実績があるので、あまりに少額の砒素処理費で済ます訳にはいかない。
しかし、道路特定財源暫定税率の期限切れで、島根県にも大きなシワ寄せが来ている。この特定財源を当てに予算を組んでいる島根県は、即座に追加補正予算を組める状況にないのだ。
だから、検討会議を利用して、「工事続行に問題はない」と言わせたのだろう。それで、とりあえずは工事を完了させ、市内にバラまいた砒素を含んだ掘削ズリは、青いビニールシートをかぶせてしばらく放置しておく以外にない、というのが真相だろう。
「落としどころ」も利権の対象
さて、この「落としどころ」だが、このまま適当な理由をつけて何の対策も取らずにズルズル先送りし、責任者は定年や異動でいなくなり、その内に誰も忘れてしまうというのが島根県にしてみればベストな方法だが、そうもいかない。
それから、また例の教授などが出てきて、シートを敷いた上に掘削ズリを積んで、シートかコンクリートで覆う方法などを提案してくる。待ってましたとばかりにこれに利権屋が飛びつく。膨大な予算が組まれ、誰でもできるような単純な工事が行われるのだが、入札に参加できるのは、過去5年以内に島根県の○○億円の工事実績がある業者といった条件が付いてくる。
これで新昭和トンネルで損した分を取り戻そうと思う連中が既に動き出している。
島根県がまたその連中に加担するようなら、今迄のように甘い時代ではないことを痛いほど理解する事態にまた遭遇することになる可能性もある。
しかし、これから本気で「落としどころ」を探す気があるのなら、最初にしなければならないことは住民への「謝罪」だろうが、それはまだない。
正直が一番
前回は、津和野の新昭和トンネルのことを書いた。この落としどころを探すのもここまでねじれると難しくなる一方だ。
しかし、それでも元々土質調査を行い、基準値を上回る砒素が検出されたことを公表しているのだから、地元で最初に合意してもらった処理方法を実施すれば、採石場周辺の地元説明会を一から始めるよりは早い。
当然のことながら、砒素処理方法を事前に何の協議もなく勝手に変更した謝罪は行うべきだが、正直に事情説明をすれば理解してもらえる可能性は高い。
大学教授や漁協まで抱き込んで、少なからぬ利権を一手に貪ろうとした連中は内心穏やかではないだろうが、こんな茶番が何時までもバレないですむはずがない。今までのような甘い時代は終わったことを知るべきよい機会だ。
比類のない性質の悪さ
さて、問題は長沢トンネルである。
このトンネル工事は、砒素など検出されなかったという前提で出発している。ところが、本紙の独自調査で掘削ズリから砒素が検出されたことが明らかになった。
島根県は、住民から通報があって、改めて調査を行ったら砒素が検出されたと新聞は書いているが、本紙の読者には今さらそんな作り話を信用する人はいないだろう。
最初からとは言わないが、途中で基準値を上回る砒素が含まれていることは百も承知で工事を進めていたのだ。ゼネコンの専門技師が、掘削ズリを見て高濃度の砒素が含まれているかいないかも判断できないはずがないと専門家は言う。
本紙記者が、専門家にこの掘削ズリの写真を送っただけで「間違いなく砒素を含んでいる。」と言ったから検査機関に試料を送ったのだ。そうでなければ、高い金まで払って検査依頼などするはずがない。
そして、本紙が動かぬ証拠を突き付けたから島根県は体裁を繕ったに過ぎないのだから、新昭和トンネルよりも性質が悪い。始末に負えないとは正にこのことだろう。
住民不在の「砒素対策」
島根県は、また例の教授を使って素人を集めた「検討会議」を立ち上げ、その委員会に「砒素が溶出しにくい掘削ズリなので、工事続行に問題はない」と認めてもらったなどといい加減なことを言って世間をたぶらかしているが、内実はそうではない。
要するに、グラントワでも多額の税金を使って過剰な処理をして利権屋に儲けさせた実績があるので、あまりに少額の砒素処理費で済ます訳にはいかない。
しかし、道路特定財源暫定税率の期限切れで、島根県にも大きなシワ寄せが来ている。この特定財源を当てに予算を組んでいる島根県は、即座に追加補正予算を組める状況にないのだ。
だから、検討会議を利用して、「工事続行に問題はない」と言わせたのだろう。それで、とりあえずは工事を完了させ、市内にバラまいた砒素を含んだ掘削ズリは、青いビニールシートをかぶせてしばらく放置しておく以外にない、というのが真相だろう。
「落としどころ」も利権の対象
さて、この「落としどころ」だが、このまま適当な理由をつけて何の対策も取らずにズルズル先送りし、責任者は定年や異動でいなくなり、その内に誰も忘れてしまうというのが島根県にしてみればベストな方法だが、そうもいかない。
それから、また例の教授などが出てきて、シートを敷いた上に掘削ズリを積んで、シートかコンクリートで覆う方法などを提案してくる。待ってましたとばかりにこれに利権屋が飛びつく。膨大な予算が組まれ、誰でもできるような単純な工事が行われるのだが、入札に参加できるのは、過去5年以内に島根県の○○億円の工事実績がある業者といった条件が付いてくる。
これで新昭和トンネルで損した分を取り戻そうと思う連中が既に動き出している。
島根県がまたその連中に加担するようなら、今迄のように甘い時代ではないことを痛いほど理解する事態にまた遭遇することになる可能性もある。
しかし、これから本気で「落としどころ」を探す気があるのなら、最初にしなければならないことは住民への「謝罪」だろうが、それはまだない。
by nakayama-yutaka
| 2008-04-09 00:42
| 砒素騒動
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