2008年 02月 28日
もう許してはならない! |
許されない「トカゲ」の尻尾切り
これまで書いてきた「疑惑の連鎖」もようやく一区切りできそうだ。この「殺人未遂事件」の遠因はこれまで書いてきたとおりである。この線で警察の捜査も進められているようだから、税金を食い物にしている連中の正体も早晩暴かれることだろう。
ただ、先日も書いたとおり、この種の事件の解決は、「誰がしたのではなく、誰がさせたのかである。」
今回のこの事件も、「トカゲの尻尾切り」で終わる可能性が残っている。警察の捜査がどこまで及ぶのか、税金を払っている住民はこれからも注意深く観察していく必要がありそうだ。
図々しい無神経な奴らが多過ぎる
今回の一連の事件を振り返って思うことは、「無神経な奴らが多過ぎる」ということだ。
日本には、慢性砒素中毒症患者が多発しているとして、環境庁によって公害病の指定を受けた地域が2か所ある。宮崎県高千穂町の旧土呂久鉱山周辺と島根県津和野町の旧笹ケ谷鉱山周辺である。いずれの鉱山も、硫砒鉄鉱を原料にして亜砒酸を製造した歴史をもっている。
公害の影響による健康被害者の迅速かつ公正な保護を図るため「公害健康被害補償法」(以下「補償法」という。)が昭和49年9月1日から施行されているが、これは上記の呂久鉱山と笹ケ谷鉱山の環境汚染が直接の引き金となって制定されたものだ。
若い人たちは知らないかもしれないが、津和野には「笹ケ谷鉱山」があった。主に銅、亜鉛等の鉱山だったが、現在は既に廃鉱となっている。
しかし、この鉱山は銅や亜鉛等を産出した鉱山としてより、殺鼠剤(ネズミの駆除剤)の原料となる砒素(ヒ素)を副産物として産出したため、江戸時代には、むしろ砒素を主たる産物とするようになった。
写真は操業中の旧「笹ケ谷鉱山」 かつては銅や亜鉛等を産出した有数な鉱山だった。
(よく時代劇などで、「石見銀山猫いらず」と言って売り歩く行商人が出ることがある。これが笹ケ谷鉱山から産出された砒素を使ったものである。
江戸時代に、砒素を用いた殺鼠剤を商品化する際、当時、国内屈指の大銀山として知られていた「石見銀山」の名を勝手に使って、「石見銀山猫いらず」として売っていたのだ。しかし、今は世界遺産になった「石見銀山」から砒素は産出しない。今なら産地詐称で裁判になっていたかもしれないが、当時はなんのお構いもなかったようだ。)
こんな背景があったことを今時の島根県の職員は知らないから、無自覚に「闇の利権」の片棒を担ぐような無神経なことをするのだろう。もちろん、「利権屋」どもは、欲に目が眩んでいるからこんなことが目に入るはずもない。
笹ヶ谷における慢性砒素中毒症
沿 革
島根県笹ヶ谷地区における慢性砒素中毒症に関する経緯は次のとおりである。
45年 笹ヶ谷鉱山周辺における砒素の環境汚染を島根県が確認
47年7月~11月 住民健康調査の実施
48年8月 上記調査に基づき、慢性砒素中毒症と思われる者7人、疑いのある者5人、要経過観察者19人が認められた旨の報告
49年7月 救済法による地域指定
9月 補償法による地域指定(救済法から引継ぎ)
現 状
49年7月の地域指定以降救済法及び補償法によって認定された者は、61年12月末現在21人(うち死亡者14人)となっている。
写真は現在は廃鉱となっている「笹ケ谷鉱山」 コンクリート壁で溶出水が流失しないようになっている。
このように、砒素による健康被害は、石西地区に住むそこそこの年齢の人なら誰でも鮮明に覚えていることなのだ。決して、遠い他所の話でもなければ遠い昔の話でもないのである。
許してはいけない!
実際のところ、津和野のトンネル工事の残土に含まれる砒素が、住民にどの程度の健康被害を与えるのかは解らない人たちも多いだろう。しかし、こうしたトラウマを持つ人たちのいる所で、利権のためならなりふり構わぬ細工をしかける奴らを見逃すことは許されない。
まして、30年間も重量オーバーのダンプを走らせて私腹を肥やしてきた連中が、何のお咎めもなく、終いには口封じに「殺人未遂事件」まで引き起こしたのではないか。これほど納税者である住民を蔑ろにした話もない。
これが「トカゲの尻尾切り」で終わるようなら、続々「疑惑の連鎖」連載の準備をしなければならなくなるだろう。なにせ、このようなバッジの絡んだ官製談合や不祥事の隠蔽工作のネタはいくらでもある。
これからの捜査の進展に期待しよう。
これまで書いてきた「疑惑の連鎖」もようやく一区切りできそうだ。この「殺人未遂事件」の遠因はこれまで書いてきたとおりである。この線で警察の捜査も進められているようだから、税金を食い物にしている連中の正体も早晩暴かれることだろう。
ただ、先日も書いたとおり、この種の事件の解決は、「誰がしたのではなく、誰がさせたのかである。」
今回のこの事件も、「トカゲの尻尾切り」で終わる可能性が残っている。警察の捜査がどこまで及ぶのか、税金を払っている住民はこれからも注意深く観察していく必要がありそうだ。
図々しい無神経な奴らが多過ぎる
今回の一連の事件を振り返って思うことは、「無神経な奴らが多過ぎる」ということだ。
日本には、慢性砒素中毒症患者が多発しているとして、環境庁によって公害病の指定を受けた地域が2か所ある。宮崎県高千穂町の旧土呂久鉱山周辺と島根県津和野町の旧笹ケ谷鉱山周辺である。いずれの鉱山も、硫砒鉄鉱を原料にして亜砒酸を製造した歴史をもっている。
公害の影響による健康被害者の迅速かつ公正な保護を図るため「公害健康被害補償法」(以下「補償法」という。)が昭和49年9月1日から施行されているが、これは上記の呂久鉱山と笹ケ谷鉱山の環境汚染が直接の引き金となって制定されたものだ。
若い人たちは知らないかもしれないが、津和野には「笹ケ谷鉱山」があった。主に銅、亜鉛等の鉱山だったが、現在は既に廃鉱となっている。
しかし、この鉱山は銅や亜鉛等を産出した鉱山としてより、殺鼠剤(ネズミの駆除剤)の原料となる砒素(ヒ素)を副産物として産出したため、江戸時代には、むしろ砒素を主たる産物とするようになった。
写真は操業中の旧「笹ケ谷鉱山」 かつては銅や亜鉛等を産出した有数な鉱山だった。
(よく時代劇などで、「石見銀山猫いらず」と言って売り歩く行商人が出ることがある。これが笹ケ谷鉱山から産出された砒素を使ったものである。
江戸時代に、砒素を用いた殺鼠剤を商品化する際、当時、国内屈指の大銀山として知られていた「石見銀山」の名を勝手に使って、「石見銀山猫いらず」として売っていたのだ。しかし、今は世界遺産になった「石見銀山」から砒素は産出しない。今なら産地詐称で裁判になっていたかもしれないが、当時はなんのお構いもなかったようだ。)
こんな背景があったことを今時の島根県の職員は知らないから、無自覚に「闇の利権」の片棒を担ぐような無神経なことをするのだろう。もちろん、「利権屋」どもは、欲に目が眩んでいるからこんなことが目に入るはずもない。
笹ヶ谷における慢性砒素中毒症
沿 革
島根県笹ヶ谷地区における慢性砒素中毒症に関する経緯は次のとおりである。
45年 笹ヶ谷鉱山周辺における砒素の環境汚染を島根県が確認
47年7月~11月 住民健康調査の実施
48年8月 上記調査に基づき、慢性砒素中毒症と思われる者7人、疑いのある者5人、要経過観察者19人が認められた旨の報告
49年7月 救済法による地域指定
9月 補償法による地域指定(救済法から引継ぎ)
現 状
49年7月の地域指定以降救済法及び補償法によって認定された者は、61年12月末現在21人(うち死亡者14人)となっている。
写真は現在は廃鉱となっている「笹ケ谷鉱山」 コンクリート壁で溶出水が流失しないようになっている。
このように、砒素による健康被害は、石西地区に住むそこそこの年齢の人なら誰でも鮮明に覚えていることなのだ。決して、遠い他所の話でもなければ遠い昔の話でもないのである。
許してはいけない!
実際のところ、津和野のトンネル工事の残土に含まれる砒素が、住民にどの程度の健康被害を与えるのかは解らない人たちも多いだろう。しかし、こうしたトラウマを持つ人たちのいる所で、利権のためならなりふり構わぬ細工をしかける奴らを見逃すことは許されない。
まして、30年間も重量オーバーのダンプを走らせて私腹を肥やしてきた連中が、何のお咎めもなく、終いには口封じに「殺人未遂事件」まで引き起こしたのではないか。これほど納税者である住民を蔑ろにした話もない。
これが「トカゲの尻尾切り」で終わるようなら、続々「疑惑の連鎖」連載の準備をしなければならなくなるだろう。なにせ、このようなバッジの絡んだ官製談合や不祥事の隠蔽工作のネタはいくらでもある。
これからの捜査の進展に期待しよう。
by nakayama-yutaka
| 2008-02-28 00:43
| 砒素騒動
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