2008年 01月 15日
高津川の環境を守る会 総会 |
「高津川の環境を守る市民の会」がNPO法人設立準備総会を開催
「高津川の環境を守る市民の会」は平成20年1月10日、総会を開催、代表に渡辺悟氏を選出した。
さらに「NPO法人」の設立準備と運動の理念を提唱し、今後の活動の大要を決定した。
平成20年1月15日
設立趣意書
「高津川の環境を守る市民の会」
代表 渡辺 悟
高度成長期、企業活動が原因である公害に対する反対運動は市民による運動として、ボランティアを育ててきました。
しかし、私たちの町ではこのような運動が反対運動からなかなか脱皮できず、本来環境改善及び保全整備に必要な「町づくり」の運動に昇華することができないでいます。
それ故に、環境整備、生活環境保全及び福祉は「行政」が与えるものという土壌からなかなか抜け出せず、住民に密着した環境保全整備ボランティアは必然的に行政と近い場合が多く、企業への反対運動という行政とも対峙する運動とは相容れない部分が多く感じられます。
そこで、これからの生活環境問題を考えるとき、ボランティアが企業と真摯に論議し、町づくりの一環として前向きに活動することが必至であると考えます。
近年の地球環境は悪化しており、私たちが生きている環境、たぐいまれな生物を育める環境は崩壊の危機に接している。「なんとかしなければ」と思う心ある多くの人の存在があります。
特定非営利活動法人「高津川の環境を守る市民の会」設立の趣意として、次の理念を提唱し活動を興し広め、企業による地域住民に対する生活妨害から人命を守り、高津川流域住民の生活環境保全整備に寄与したいと考えます。
理念の提唱
1)環境への損害を抑えるためには、日々の暮らしの影響を理解することが極めて重要であり、 自分が外界に及ぼす影響を全ての人が認識し、自分自身に責任をもつことから始める。
2)エネルギーの消費や公害、化学薬品の使用などは、いずれも食物のような生活必需品の供給元が、消費の場から遠く引き離された場合に増加する。地域主義の原則からして、遠く離れたところから運ばれてきたものより、地元でとれたものを優先し、物事を地域レベルで処理する。
3)複雑さが増せば、その分ゴミやエネルギー消費、簡潔さの原則で、必要以上に複雑なものよりシンプルものを選び物事を完結に保つ。
4)環境を意識した暮らしは、専門化を避けることである。多様性の原則で、できるだけ多様性を守るほうが、安全でより無駄が無く、より汚染が少ないことを認識する。
5)自然界に対する暴力や科学的な暴力は、やがて同じように我々に跳ね返ってくる。
非暴力の原則で、自然や動物を虐待する行為は全て避ける。
6)環境が直面している諸問題の多くは、過剰な消費が生み出したものである。中庸の原則で、我々が本当に必要な分以上の消費をしない等生活の節度を守る。
勿論、環境問題は足元から解決すべきもので、それぞれの地域に自分たちの住む町の保全整備に取り組む団体を構築することが先決であります。
しかし、公害への反対運動がその始まりだった故に、それぞれの地域で地に足をつけた活動が難しく育ちにくい面もあります。団体とボランティアが共同して生活環境改善及び保全に取り組んでいくことが肝要であると考えます。
ついては、高津川流域住民の生活環境保全整備を目的とした「特定非営利活動法人促進法」に基づく市民活動団体の法人を設立し、環境、社会教育、人権擁護による生活環境改善保全関連の自主事業を行うことにより、生活環境の向上による町づくりの推進に寄与する目的をもってここに特定非営利法人を設立するものであります。
トンネル工事から排出される砒素放流から高津川を守ろう
島根県は鹿足郡津和野町邑輝に延長909m、幅員8.5mの新昭和トンネル工事(仮称)計画を進めている。
しかし、同工事はボーリング調査を実施したところ環境基準の18倍の砒素が溶出していることが判明した。この砒素を益田興産三星採石場で洗浄し、高津川に放流することで地域住民や高津川流域の鮎などの生態に多大な影響を及ぼす恐れが生じている。
高津川の鮎は全国的にも稀に見る食味を持ち、今夏には高津川で鮎釣り全国大会が開催されるなど全国的に高津川が賞賛されている。
また、全国各地から「高津川の鮎が大変」とブログなどでトンネル工事の違法性について叱咤する声が続出している。
ブログに掲載されている投稿原稿の一部
(1)有名な高津川で捕れる鮎が砒素に汚染されてしまう。みんなで守って欲しい高津川の鮎。
(2)ぼくのふるさと島根には、高津川という島根で一番きれいな川があり、そこで捕れる鮎はとっ てもおいしいです。しかし心配なことがあります。ぼくの職場で今度その高津川のそばの採石 場で砒素を含んだトンネルの土砂を持ち込み、処理を行う計画が進行中です。絶対に危険な ことはやめて欲しい。皆さんどう思いますか。
(3)なぜ普通の採石場に砒素処理施設があるのか。採石場の原石に高濃度の砒素が含まれ ているからであろう。
(4)そのことを採石場周辺住民も知らない、漁協も知らないというのはおかしい。
(5)しかも、そこで他所のトンネル工事から出た砒素を含んだ土砂を持ち込んで処理しようなん て正気の沙汰ではない。
(6)県は経費削減なら何でもありで、砕石業者は設けるためなら何でもありか。
(7)公害大国・中国並みの住民無視の暴挙は許されない。
トンネル工事の経過を検証
平成15年度
ボーリング調査を実施したところ現場の土壌より、最高で18倍の砒素が溶出していることがわかった。それにより、15年度発注予定の新昭和トンネル(仮称)が延期になる。
平成16年度
基礎地盤コンサルタント(株)が委託を受け、トンネル工事に伴い発生する砒素を含む土砂の処理方法の検討を実施。砒素を洗い流す土壌洗浄処理方式がコストあるいは安全性で優位性があり選定される。
平成17年度
セントラルコンサルタント(株)が委託を受け、土壌洗浄方式のプラントの詳細設計を実施する。
また、砒素土壌処理に関して、有識者(島根大学 石賀教授、奥村教授)をむかえ検討委員会を開催。
平成18年度
6月 島根県津和野町土木事業所より、トンネル工事に伴い発生する砒素を含む土砂の洗浄処理に関する見積もりをゼネコン等に依頼。
9月 入札公告。
12月8日 (株)奥村組が19億9800万円(予定価格約23億円,この内、本体工事及び周辺工事約14億円、周辺整備工事等約1億円、砒素処理費約5億円)で落札。後に仮契約を締結し、議決が必要な金額のため2月議会最終日まで本契約を延期。
2月28日 公正取引委員会が名古屋市交通局発注の地下鉄工事において独占禁止法違反で落札業者(株)奥村組を含む大手ゼネコン4社を告発。
3月1日 島根県は(株)奥村組を含む大手ゼネコン4社を6ヶ月間の指名停止にする。同日、上記の仮契約解除。
平成19年度
6月 島根県津和野町土木事業所より、トンネル工事に伴い発生する砒素を含む土砂の洗浄処理に関する見積もりをゼネコンな等に依頼。
7月 島根県は、防衛施設庁発注の特定土木・建築工事において、独占禁止法違反を行ったとしてゼネコン43社を指名停止にした。このため、入札への参加資格のある業者が殆どなく、指名停止期間後入札では落札業者決定までの審査期間がなく、19年度の発注が困難となった。
8月 島根県は、島根県建設工事一般競争入札執行要領の中で、トンネル工事における発注基準を12億円から24.1億円未満の工事でJV(県外1社+県内2社)と規定している。
ただし、トンネル工事など2億円を超えた予定金額であっても、比較的高度な技術を必要としない工法で、距離の延長に伴い工事金額が若干増加する場合は、県が規定する実績を持つ県内業者3社、もしくはゼネコン+県内業者2社によるJVへの発注も可能な内規がある。
しかし、今回の工事が予定金額を23億円としているため、現在の予定価格では前記の超過基準に適合しない可能性があり、そうすればゼネコン(県外業者)を入れたJV での入札しか行えない。
このため、砒素処理(約5億円)を別発注にして本体工事費を縮減し、地元業者3社のJVに発注する可能性が高い情勢となった。
こうした状況下で、砕石業者の益田興産(株)に発生した砒素を含む土砂を持ち込み、一般的な砕石処理のプラントで砒素処理を行う計画変更が検討されていることが判明。
しかし、一般的な採石場に設置されたプラントで土壌汚染対策法施行令第1条に規定する砒素及びその化合物を除去することは困難と思われるし、洗浄した場合の水処理にも不明な点がある。
また、「指定区域から排出する汚染土壌の取り扱いについて」(平成15年、環境省環境管理局水環境部土壌課長よりの文書では)「汚染除去等の措置としては、汚染土壌を排出して処分することなく措置されることが望ましく、処分方法を定めることをもって、排出を伴う措置や汚染土壌の指定区域外での処分を奨励するものではないことに留意されたい」としており、これまでの指定区域外での専門業者による土壌洗浄処理方法の検討経過を踏まえれば、いかにも不自然な措置であるといわざるをえない。
しかし、これらの一連の汚染土壌処理の計画変更の可能性について、津和野町のトンネル工事周辺の地元、益田興産(株)周辺の地元説明はなく、高津川漁協との協議も行われていない。
なお、この汚染土壌の処理方法について、地元や漁協との調整が難航した場合、この事業自体が頓挫する可能性が高く、地元としては既に協議済みの処理方法で円滑にこの事業が進捗することを承諾している。
今回、島根県が突然に砒素処理方法の変更を行ったことについて、関係者からの聞き取りを行った。
これまで津和野土木事務所から説明を受けていた処理方法が変更された理由について、津和野土木事務所から関係者(地元住民・漁協・協力事業者)への具体的な説明はない。
変更された処理方法が、コスト・安全の面等で優位性が保障されるものであれば、当然説明すべきと思われるが、それがないために様々な憶測が生じる
憶測というのは、処理方法の変更によって新たな利権が発生する可能性があり、計画変更を強要する[勢力]があって、不当介入が背後にあるのではないか。
通常の一般的な砕石場に設置されているプラントで、砒素の除去処理ができるとは考えられないから、既に砒素処理が可能なプラントを設置しなければならない理由があったのではないか。
つまり、原石自体に砒素が含まれているから、出荷の際に砒素の除去を行う必要があり、そのため既設プラントが存在しているのではないか。
しかし、仮にそうであったとしたら、それはそれで非常に大きな問題である。
処理を行わずに積み置きをする場合であれば、地元住民、漁協との協議は不可欠であるが、地元・漁協ともに津和野土木事務所からの正式な協議の申し入れすらない。
以上が聞き取りによる内容である。
環境問題としての砒素汚染
- 砒素の循環と特性 -
砒素の基礎的な知識
砒素は生命体の出現以前から地球上に普遍的に存在していますが,その起源は火山性砒素に由来します。火山活動で地表に出たマグマ中の砒素は,自然の風化作用や人為的作用などを受けながら,最終的には海に排出されてゆきます。この砒素のグローバルな循環系は,いろいろな環境圏(土壌,水,空気,生物体)で同時的かつ継続的に生じている多くの異なった機序から成り立っています。
砒素には無機化合物や有機化合物などいろいろありますが,自然界にある無機砒素では亜砒酸(三酸化砒素)とそれが酸化された砒酸(五酸化砒素)があります。亜砒酸は,砒素の中では最も毒性が強いものです。
すべての生物には,それぞれ砒素を代謝する機能が備わっていますが,その機序は植物も動物もほぼ同じで,亜砒酸-(酸化)-+砒酸-(メチル化)一有機砒素化合物という過程を辿ります。
砒素には重要な特性があります。リンの海水中の濃度は0.007ppmですが,プランクトンから哺乳類まで順々に高くなり,43,000ppmとなります。リンは生物増殖に必要なため生体内で蓄積されるので,食物連鎖を通じて濃縮されるのです。一般に毒性のある重金属類の多くは,メチル化されると生体内のSH基と結合して排泄されにくくなるので毒性が増強します。
有機水銀は,食物連鎖を通じて生体内で濃縮されてゆくので「水俣病」が起こってくるということになります。
「高津川の環境を守る市民の会」は平成20年1月10日、総会を開催、代表に渡辺悟氏を選出した。
さらに「NPO法人」の設立準備と運動の理念を提唱し、今後の活動の大要を決定した。
平成20年1月15日
設立趣意書
「高津川の環境を守る市民の会」
代表 渡辺 悟
高度成長期、企業活動が原因である公害に対する反対運動は市民による運動として、ボランティアを育ててきました。
しかし、私たちの町ではこのような運動が反対運動からなかなか脱皮できず、本来環境改善及び保全整備に必要な「町づくり」の運動に昇華することができないでいます。
それ故に、環境整備、生活環境保全及び福祉は「行政」が与えるものという土壌からなかなか抜け出せず、住民に密着した環境保全整備ボランティアは必然的に行政と近い場合が多く、企業への反対運動という行政とも対峙する運動とは相容れない部分が多く感じられます。
そこで、これからの生活環境問題を考えるとき、ボランティアが企業と真摯に論議し、町づくりの一環として前向きに活動することが必至であると考えます。
近年の地球環境は悪化しており、私たちが生きている環境、たぐいまれな生物を育める環境は崩壊の危機に接している。「なんとかしなければ」と思う心ある多くの人の存在があります。
特定非営利活動法人「高津川の環境を守る市民の会」設立の趣意として、次の理念を提唱し活動を興し広め、企業による地域住民に対する生活妨害から人命を守り、高津川流域住民の生活環境保全整備に寄与したいと考えます。
理念の提唱
1)環境への損害を抑えるためには、日々の暮らしの影響を理解することが極めて重要であり、 自分が外界に及ぼす影響を全ての人が認識し、自分自身に責任をもつことから始める。
2)エネルギーの消費や公害、化学薬品の使用などは、いずれも食物のような生活必需品の供給元が、消費の場から遠く引き離された場合に増加する。地域主義の原則からして、遠く離れたところから運ばれてきたものより、地元でとれたものを優先し、物事を地域レベルで処理する。
3)複雑さが増せば、その分ゴミやエネルギー消費、簡潔さの原則で、必要以上に複雑なものよりシンプルものを選び物事を完結に保つ。
4)環境を意識した暮らしは、専門化を避けることである。多様性の原則で、できるだけ多様性を守るほうが、安全でより無駄が無く、より汚染が少ないことを認識する。
5)自然界に対する暴力や科学的な暴力は、やがて同じように我々に跳ね返ってくる。
非暴力の原則で、自然や動物を虐待する行為は全て避ける。
6)環境が直面している諸問題の多くは、過剰な消費が生み出したものである。中庸の原則で、我々が本当に必要な分以上の消費をしない等生活の節度を守る。
勿論、環境問題は足元から解決すべきもので、それぞれの地域に自分たちの住む町の保全整備に取り組む団体を構築することが先決であります。
しかし、公害への反対運動がその始まりだった故に、それぞれの地域で地に足をつけた活動が難しく育ちにくい面もあります。団体とボランティアが共同して生活環境改善及び保全に取り組んでいくことが肝要であると考えます。
ついては、高津川流域住民の生活環境保全整備を目的とした「特定非営利活動法人促進法」に基づく市民活動団体の法人を設立し、環境、社会教育、人権擁護による生活環境改善保全関連の自主事業を行うことにより、生活環境の向上による町づくりの推進に寄与する目的をもってここに特定非営利法人を設立するものであります。
トンネル工事から排出される砒素放流から高津川を守ろう
島根県は鹿足郡津和野町邑輝に延長909m、幅員8.5mの新昭和トンネル工事(仮称)計画を進めている。
しかし、同工事はボーリング調査を実施したところ環境基準の18倍の砒素が溶出していることが判明した。この砒素を益田興産三星採石場で洗浄し、高津川に放流することで地域住民や高津川流域の鮎などの生態に多大な影響を及ぼす恐れが生じている。
高津川の鮎は全国的にも稀に見る食味を持ち、今夏には高津川で鮎釣り全国大会が開催されるなど全国的に高津川が賞賛されている。
また、全国各地から「高津川の鮎が大変」とブログなどでトンネル工事の違法性について叱咤する声が続出している。
ブログに掲載されている投稿原稿の一部
(1)有名な高津川で捕れる鮎が砒素に汚染されてしまう。みんなで守って欲しい高津川の鮎。
(2)ぼくのふるさと島根には、高津川という島根で一番きれいな川があり、そこで捕れる鮎はとっ てもおいしいです。しかし心配なことがあります。ぼくの職場で今度その高津川のそばの採石 場で砒素を含んだトンネルの土砂を持ち込み、処理を行う計画が進行中です。絶対に危険な ことはやめて欲しい。皆さんどう思いますか。
(3)なぜ普通の採石場に砒素処理施設があるのか。採石場の原石に高濃度の砒素が含まれ ているからであろう。
(4)そのことを採石場周辺住民も知らない、漁協も知らないというのはおかしい。
(5)しかも、そこで他所のトンネル工事から出た砒素を含んだ土砂を持ち込んで処理しようなん て正気の沙汰ではない。
(6)県は経費削減なら何でもありで、砕石業者は設けるためなら何でもありか。
(7)公害大国・中国並みの住民無視の暴挙は許されない。
トンネル工事の経過を検証
平成15年度
ボーリング調査を実施したところ現場の土壌より、最高で18倍の砒素が溶出していることがわかった。それにより、15年度発注予定の新昭和トンネル(仮称)が延期になる。
平成16年度
基礎地盤コンサルタント(株)が委託を受け、トンネル工事に伴い発生する砒素を含む土砂の処理方法の検討を実施。砒素を洗い流す土壌洗浄処理方式がコストあるいは安全性で優位性があり選定される。
平成17年度
セントラルコンサルタント(株)が委託を受け、土壌洗浄方式のプラントの詳細設計を実施する。
また、砒素土壌処理に関して、有識者(島根大学 石賀教授、奥村教授)をむかえ検討委員会を開催。
平成18年度
6月 島根県津和野町土木事業所より、トンネル工事に伴い発生する砒素を含む土砂の洗浄処理に関する見積もりをゼネコン等に依頼。
9月 入札公告。
12月8日 (株)奥村組が19億9800万円(予定価格約23億円,この内、本体工事及び周辺工事約14億円、周辺整備工事等約1億円、砒素処理費約5億円)で落札。後に仮契約を締結し、議決が必要な金額のため2月議会最終日まで本契約を延期。
2月28日 公正取引委員会が名古屋市交通局発注の地下鉄工事において独占禁止法違反で落札業者(株)奥村組を含む大手ゼネコン4社を告発。
3月1日 島根県は(株)奥村組を含む大手ゼネコン4社を6ヶ月間の指名停止にする。同日、上記の仮契約解除。
平成19年度
6月 島根県津和野町土木事業所より、トンネル工事に伴い発生する砒素を含む土砂の洗浄処理に関する見積もりをゼネコンな等に依頼。
7月 島根県は、防衛施設庁発注の特定土木・建築工事において、独占禁止法違反を行ったとしてゼネコン43社を指名停止にした。このため、入札への参加資格のある業者が殆どなく、指名停止期間後入札では落札業者決定までの審査期間がなく、19年度の発注が困難となった。
8月 島根県は、島根県建設工事一般競争入札執行要領の中で、トンネル工事における発注基準を12億円から24.1億円未満の工事でJV(県外1社+県内2社)と規定している。
ただし、トンネル工事など2億円を超えた予定金額であっても、比較的高度な技術を必要としない工法で、距離の延長に伴い工事金額が若干増加する場合は、県が規定する実績を持つ県内業者3社、もしくはゼネコン+県内業者2社によるJVへの発注も可能な内規がある。
しかし、今回の工事が予定金額を23億円としているため、現在の予定価格では前記の超過基準に適合しない可能性があり、そうすればゼネコン(県外業者)を入れたJV での入札しか行えない。
このため、砒素処理(約5億円)を別発注にして本体工事費を縮減し、地元業者3社のJVに発注する可能性が高い情勢となった。
こうした状況下で、砕石業者の益田興産(株)に発生した砒素を含む土砂を持ち込み、一般的な砕石処理のプラントで砒素処理を行う計画変更が検討されていることが判明。
しかし、一般的な採石場に設置されたプラントで土壌汚染対策法施行令第1条に規定する砒素及びその化合物を除去することは困難と思われるし、洗浄した場合の水処理にも不明な点がある。
また、「指定区域から排出する汚染土壌の取り扱いについて」(平成15年、環境省環境管理局水環境部土壌課長よりの文書では)「汚染除去等の措置としては、汚染土壌を排出して処分することなく措置されることが望ましく、処分方法を定めることをもって、排出を伴う措置や汚染土壌の指定区域外での処分を奨励するものではないことに留意されたい」としており、これまでの指定区域外での専門業者による土壌洗浄処理方法の検討経過を踏まえれば、いかにも不自然な措置であるといわざるをえない。
しかし、これらの一連の汚染土壌処理の計画変更の可能性について、津和野町のトンネル工事周辺の地元、益田興産(株)周辺の地元説明はなく、高津川漁協との協議も行われていない。
なお、この汚染土壌の処理方法について、地元や漁協との調整が難航した場合、この事業自体が頓挫する可能性が高く、地元としては既に協議済みの処理方法で円滑にこの事業が進捗することを承諾している。
今回、島根県が突然に砒素処理方法の変更を行ったことについて、関係者からの聞き取りを行った。
これまで津和野土木事務所から説明を受けていた処理方法が変更された理由について、津和野土木事務所から関係者(地元住民・漁協・協力事業者)への具体的な説明はない。
変更された処理方法が、コスト・安全の面等で優位性が保障されるものであれば、当然説明すべきと思われるが、それがないために様々な憶測が生じる
憶測というのは、処理方法の変更によって新たな利権が発生する可能性があり、計画変更を強要する[勢力]があって、不当介入が背後にあるのではないか。
通常の一般的な砕石場に設置されているプラントで、砒素の除去処理ができるとは考えられないから、既に砒素処理が可能なプラントを設置しなければならない理由があったのではないか。
つまり、原石自体に砒素が含まれているから、出荷の際に砒素の除去を行う必要があり、そのため既設プラントが存在しているのではないか。
しかし、仮にそうであったとしたら、それはそれで非常に大きな問題である。
処理を行わずに積み置きをする場合であれば、地元住民、漁協との協議は不可欠であるが、地元・漁協ともに津和野土木事務所からの正式な協議の申し入れすらない。
以上が聞き取りによる内容である。
環境問題としての砒素汚染
- 砒素の循環と特性 -
砒素の基礎的な知識
砒素は生命体の出現以前から地球上に普遍的に存在していますが,その起源は火山性砒素に由来します。火山活動で地表に出たマグマ中の砒素は,自然の風化作用や人為的作用などを受けながら,最終的には海に排出されてゆきます。この砒素のグローバルな循環系は,いろいろな環境圏(土壌,水,空気,生物体)で同時的かつ継続的に生じている多くの異なった機序から成り立っています。
砒素には無機化合物や有機化合物などいろいろありますが,自然界にある無機砒素では亜砒酸(三酸化砒素)とそれが酸化された砒酸(五酸化砒素)があります。亜砒酸は,砒素の中では最も毒性が強いものです。
すべての生物には,それぞれ砒素を代謝する機能が備わっていますが,その機序は植物も動物もほぼ同じで,亜砒酸-(酸化)-+砒酸-(メチル化)一有機砒素化合物という過程を辿ります。
砒素には重要な特性があります。リンの海水中の濃度は0.007ppmですが,プランクトンから哺乳類まで順々に高くなり,43,000ppmとなります。リンは生物増殖に必要なため生体内で蓄積されるので,食物連鎖を通じて濃縮されるのです。一般に毒性のある重金属類の多くは,メチル化されると生体内のSH基と結合して排泄されにくくなるので毒性が増強します。
有機水銀は,食物連鎖を通じて生体内で濃縮されてゆくので「水俣病」が起こってくるということになります。
by nakayama-yutaka
| 2008-01-15 16:00
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