2015年 10月 28日
高津川を考える |
高津川は誰のものか!
有識読者からの投稿コメント
高津川漁協と「共同漁業権」について(1)
石西タイムスは、「第5種共同漁業権」も知らずにと、高津川漁協の代表理事からお叱りを受けたが、普段聞き慣れない専門用語を持ち出せば、素人は恐れ入るのではないか、という思いからか、他の町職員や県議の質問も揶揄していたようだ。ブログの内容からどうも本人が知らないようなので、ここで少し説明しておく。
戦前の漁業法は海面漁業も内水面漁業の区別はなかったが、昭和24年に全面改正された。内水面漁業については、当時も専業漁業者は少なく、遊漁者が多いことから、欧米のライセンス制をモデルに国営増殖方式が検討された。専業者には入会権を認め、遊漁者からは遊漁料を徴収し、それを魚の増殖に充てようとした。
しかし、地元の漁業権者の反発が強く、最終的に組合を設立させ、組合に増殖義務を課すことによって漁業権を認めることとなった。これが「第5種共同漁業権」である。
要するに、これは我が国特有の権利で、魚を捕る権利というより、お金を取る権利を組合に渡すという杜撰な制度であった。
なぜなら、当時は遡上する天然アユの数が多く、遊漁者から徴収する金の一部で形ばかりの放流事業費に充てると誰からも苦情は出なかった。漁協の懐は大きく膨らんでいくのだが、川の資源管理はほとんど行われていなかった、といっても過言ではない。
ダムがない高津川では、河川水にあまり影響を与えない小規模な水力発電所があるだけで、漁業権の侵害にあたる損害補償はほとんどなくても十分に組合経営は可能だった。
昭和50年代には、53年の59t.以外はすべて3ケタの数字が並ぶ。その内、51年に204t.を記録し、皮肉なことに大水害のあった58年には、223t.と江の川とほぼ同じの漁獲量があった。
それから、平成に入ると平成14年の127t.を最後に3ケタは見られず、平成18年の42t.を最後に、島根県が公表する詳細な統計集には数値が記載されていない。
しかし、平成18年以降も放流は継続されているのだから、何らかの漁獲量はあったはずだが、記載されていないので、統計上はゼロになっている。
「漁業権の免許を受けたものは、増殖をしなければならない。」というのが「第5種共同漁業権」を得た漁協の果たすべき最も重要な義務だ。根幹である増殖漁業権方式が破綻し、漁獲量が統計上ゼロの漁協が、どうすれば存続できるのか、最近の業務報告書を精査してみる必要もありそうだ。
本紙もその義務が果たせない漁協の代表理事に叱られて黙っていては読者が離れる。もう少し詳細にこの問題を取り上げることにする。
有識読者からの投稿コメント
高津川漁協と「共同漁業権」について(1)
石西タイムスは、「第5種共同漁業権」も知らずにと、高津川漁協の代表理事からお叱りを受けたが、普段聞き慣れない専門用語を持ち出せば、素人は恐れ入るのではないか、という思いからか、他の町職員や県議の質問も揶揄していたようだ。ブログの内容からどうも本人が知らないようなので、ここで少し説明しておく。
戦前の漁業法は海面漁業も内水面漁業の区別はなかったが、昭和24年に全面改正された。内水面漁業については、当時も専業漁業者は少なく、遊漁者が多いことから、欧米のライセンス制をモデルに国営増殖方式が検討された。専業者には入会権を認め、遊漁者からは遊漁料を徴収し、それを魚の増殖に充てようとした。
しかし、地元の漁業権者の反発が強く、最終的に組合を設立させ、組合に増殖義務を課すことによって漁業権を認めることとなった。これが「第5種共同漁業権」である。
要するに、これは我が国特有の権利で、魚を捕る権利というより、お金を取る権利を組合に渡すという杜撰な制度であった。
なぜなら、当時は遡上する天然アユの数が多く、遊漁者から徴収する金の一部で形ばかりの放流事業費に充てると誰からも苦情は出なかった。漁協の懐は大きく膨らんでいくのだが、川の資源管理はほとんど行われていなかった、といっても過言ではない。
ダムがない高津川では、河川水にあまり影響を与えない小規模な水力発電所があるだけで、漁業権の侵害にあたる損害補償はほとんどなくても十分に組合経営は可能だった。
昭和50年代には、53年の59t.以外はすべて3ケタの数字が並ぶ。その内、51年に204t.を記録し、皮肉なことに大水害のあった58年には、223t.と江の川とほぼ同じの漁獲量があった。
それから、平成に入ると平成14年の127t.を最後に3ケタは見られず、平成18年の42t.を最後に、島根県が公表する詳細な統計集には数値が記載されていない。
しかし、平成18年以降も放流は継続されているのだから、何らかの漁獲量はあったはずだが、記載されていないので、統計上はゼロになっている。
「漁業権の免許を受けたものは、増殖をしなければならない。」というのが「第5種共同漁業権」を得た漁協の果たすべき最も重要な義務だ。根幹である増殖漁業権方式が破綻し、漁獲量が統計上ゼロの漁協が、どうすれば存続できるのか、最近の業務報告書を精査してみる必要もありそうだ。
本紙もその義務が果たせない漁協の代表理事に叱られて黙っていては読者が離れる。もう少し詳細にこの問題を取り上げることにする。
by nakayama-yutaka
| 2015-10-28 07:43
| ノンカテゴリ
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