2013年 01月 08日
今年も暗い益田市 |
益田市政は今年も嘘から始まる
その② 「益田駅南北連絡橋の嘘」
(写真は駅前裏商店街)
今から20数年前、バブル経済の時代に「総合保養地域(リゾート法)」なる法律ができて、日本中でゴルフ場などの大型開発が行われた。今では信じられないことだが、益田市内でも3~4ヵ所でゴルフ場建設の計画があった。
こうした開発の前に必ず行われたのが「環境アセスメント(環境影響調査)」で、文字通りリゾート開発をすることによって周囲に与える影響の調査だが、開発をあきらめるほどの致命的な指摘のないことがほとんどだった。これを当時は「環境アワスメント」と言っていた。つまり「開発に都合のよいように合わすメント」という意味である。
特に、国や地方自治体が主体の事業で調査を受注したコンサルタントは、調査結果によって事業中止にでもなれば次の仕事に支障が出るので、環境に重要な影響を与えかねない重要な問題は些少なこととし、取るに足りないような些末な問題をいくつか並べ、その対応策を併記したレポートを公表した。発注者側は、専門業者が判断したことだからと、反対する住民を抑え込むための調査でしかなかったのだ。
益田駅南北連絡橋の建設計画がまだ生きていることを聞いて、ふと当時のことを思い出した。
歩道であれ車道であれ、人が移動する道路建設には「B/C」という定量的な評価の数値が用いられる。BはBenefit(便益効果)、CはCost(費用)という意味で、「費用対効果」とか「費用対便益」と言われるもので、道路を建設する費用に対し、道路を建設することによって得られる便益性を数値化し、これが1.0を超えると費用を投じるだけの価値があるということになっている。
この調査は建設コンサルタントに発注されるのだが、事業の計画立案は発注者側だから、コンサルタントは「これは箸にも棒にもかからない計画だ」とは言えない。場合によっては、交通量調査も人が1人通れば2~3人、自動車が1台通れば2~3台カウントし、どうにかB/Cを1.0以上に持っていき、発注者の思惑通りに仕事を進めるのが有能なコンサルタントと評価される。益田駅の昇降客やバスの利用客も実態とは乖離しているのではないか。
ただ、「B/C」が出なくても、周辺の状況から将来的には有益性の高い場合もあるだろうが、駅前南口の商店街でも買い手のつかない空き地や空き家が目立ち、歳の暮れになっても買い物客の姿もまばらな状況で、合併後の人口も既に5万人を切り、今以上の消費者、利用者の増大は見込める状況にはない。改築の進む益田日赤病院に近くなるとはいっても、どちらからもタクシーの初乗り料金は変わらない。
今の段階で20億円前後のコストがかかるようだが、全部が交付金や補助金で対応できるはずもない。26年には地方交付税も合併特例による増額分はカットされる。さらには国家公務員の給与カットに合わせ、地方公務員の給与カット分に見合う交付税も減額になる。歩道橋ができても市民の便益性の向上はまず見込めないどころか無駄な出費によって多くの市民への行政サービスの低下が見込める事業に何の意味があるというのか。
議会も、厳しい財政状況を踏まえ、先の「高津川クラインガルテン」や、この「益田駅横断歩道橋」のような多額の経費を要する事業の可否については、特別委員会を設置して、正確な情報を開示し、市民へのアンケート調査等独自の調査を行い、もう少し慎重な対応をすべきだろう。
本紙は公共工事を否定する訳ではない。公共工事はあらゆる産業と関連し、市内の経済活動の活性化に寄与する。多額の投資であっても、未来に投資効果の見込めるものなら積極的に進めるべきだろう。
しかし、この工事は事実上JRの指定する業者しか施工できず、地元に落ちる金は極めて限定的なものになる。しかもJR側の指定通りの仕様となるため通常の公共工事費の1.5倍くらいになる。その上、未来に投資効果が見込めないことは明白だ。
それでも強行するのか。
その② 「益田駅南北連絡橋の嘘」
(写真は駅前裏商店街)
今から20数年前、バブル経済の時代に「総合保養地域(リゾート法)」なる法律ができて、日本中でゴルフ場などの大型開発が行われた。今では信じられないことだが、益田市内でも3~4ヵ所でゴルフ場建設の計画があった。
こうした開発の前に必ず行われたのが「環境アセスメント(環境影響調査)」で、文字通りリゾート開発をすることによって周囲に与える影響の調査だが、開発をあきらめるほどの致命的な指摘のないことがほとんどだった。これを当時は「環境アワスメント」と言っていた。つまり「開発に都合のよいように合わすメント」という意味である。
特に、国や地方自治体が主体の事業で調査を受注したコンサルタントは、調査結果によって事業中止にでもなれば次の仕事に支障が出るので、環境に重要な影響を与えかねない重要な問題は些少なこととし、取るに足りないような些末な問題をいくつか並べ、その対応策を併記したレポートを公表した。発注者側は、専門業者が判断したことだからと、反対する住民を抑え込むための調査でしかなかったのだ。
益田駅南北連絡橋の建設計画がまだ生きていることを聞いて、ふと当時のことを思い出した。
歩道であれ車道であれ、人が移動する道路建設には「B/C」という定量的な評価の数値が用いられる。BはBenefit(便益効果)、CはCost(費用)という意味で、「費用対効果」とか「費用対便益」と言われるもので、道路を建設する費用に対し、道路を建設することによって得られる便益性を数値化し、これが1.0を超えると費用を投じるだけの価値があるということになっている。
この調査は建設コンサルタントに発注されるのだが、事業の計画立案は発注者側だから、コンサルタントは「これは箸にも棒にもかからない計画だ」とは言えない。場合によっては、交通量調査も人が1人通れば2~3人、自動車が1台通れば2~3台カウントし、どうにかB/Cを1.0以上に持っていき、発注者の思惑通りに仕事を進めるのが有能なコンサルタントと評価される。益田駅の昇降客やバスの利用客も実態とは乖離しているのではないか。
ただ、「B/C」が出なくても、周辺の状況から将来的には有益性の高い場合もあるだろうが、駅前南口の商店街でも買い手のつかない空き地や空き家が目立ち、歳の暮れになっても買い物客の姿もまばらな状況で、合併後の人口も既に5万人を切り、今以上の消費者、利用者の増大は見込める状況にはない。改築の進む益田日赤病院に近くなるとはいっても、どちらからもタクシーの初乗り料金は変わらない。
今の段階で20億円前後のコストがかかるようだが、全部が交付金や補助金で対応できるはずもない。26年には地方交付税も合併特例による増額分はカットされる。さらには国家公務員の給与カットに合わせ、地方公務員の給与カット分に見合う交付税も減額になる。歩道橋ができても市民の便益性の向上はまず見込めないどころか無駄な出費によって多くの市民への行政サービスの低下が見込める事業に何の意味があるというのか。
議会も、厳しい財政状況を踏まえ、先の「高津川クラインガルテン」や、この「益田駅横断歩道橋」のような多額の経費を要する事業の可否については、特別委員会を設置して、正確な情報を開示し、市民へのアンケート調査等独自の調査を行い、もう少し慎重な対応をすべきだろう。
本紙は公共工事を否定する訳ではない。公共工事はあらゆる産業と関連し、市内の経済活動の活性化に寄与する。多額の投資であっても、未来に投資効果の見込めるものなら積極的に進めるべきだろう。
しかし、この工事は事実上JRの指定する業者しか施工できず、地元に落ちる金は極めて限定的なものになる。しかもJR側の指定通りの仕様となるため通常の公共工事費の1.5倍くらいになる。その上、未来に投資効果が見込めないことは明白だ。
それでも強行するのか。
by nakayama-yutaka
| 2013-01-08 01:42
| 益田市政
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