2011年 10月 19日
経済 |
田舎の経済学を考える
前回のシミュレーションで円高が進み3年後には1$=60~50円台になるだろうと記述したが、だが円高とは何かについて考えてみよう。
財政赤字が膨張を続けて、日本国債が格下げされても、円は戦後最高値を更新している。なぜ財政が破綻しそうなのに円だけが高くなるのか? 本当に円は高いのか?
通貨と言うものは相対的なものだから、ドルに対して円が高くなっても、ユーロに対して円が高くなっても、ユーロに対して安くなるということがしばしば起きる。だが実効レートなら、世界の通貨の中で円が円が高くなっていく様子がわかる。(実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。具体的には、対象となる全ての通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出される。)
ところで実質為替レートというのは一体何だろうか?
実質為替レートは、日々変化する為替レートを見ているだけでは、把握することができない、両国の物価を加味した現実に近い為替レートであるために、2国間の正確な為替レートを知りたい場合は、実際の為替レートよりも実質為替レートの方を重視するべきです。
そして、実質為替レートは、一般的に使用されている、1米ドル=100円という邦貨建て名目為替レートで表現するのでは無く、1円=0.01米ドルという外貨建て名目為替レートで表現することになります。
例えば1米ドル=100円として、パン1個が日本で100円、アメリカで1ドルだったとする。このとき日本がデフレになって、パンが90円に値下がりしたとすると、このとき為替ルートが1ドル=100円のままだったら、ドル換算したパンの値段は90セントになる。
ところが同じパンがアメリカでは1個1ドルで売られているのだから、日本(90セント)からアメリカ(1ドル)に持っていくだけで、1個あたり10セント儲かることになる。モノを動かすだけで無限にお金を増やすことができる。すなわちここでは、あり得ないはずの錬金術が成立しまう。
でも現実にはこんなうまい話にはならない。為替ロートが1ドル=90円の円高になることで、90円のパンは1ドルになって、損得はなくなるのだ。(橘玲氏の円高に慌てるな引用)
要するに、資金力のない者がリサヤを儲けようと考えても儲からないように経済の仕組みはなっている。これが金融経済というものであろう。
しかし、日本から韓国に行けば旅費・ホテル代1泊2日=25000円だが韓国から日本に来れば50000万円では観光客は来ないだろう。
橘玲氏の円高に慌てるな
個人でできるリスクヘッジ
「国家破産」でなにが起きるのかあらかじめわかっているのなら、対処するのはそれほど難しくない。
もっとも重要なのは、【その1】変動金利の借入をしないことだ。毎月の返済が楽だからといって変動金利で住宅ローンを組んでいると、金利の上昇で返済に窮し、自己破産を余儀なくされることになる(逆に固定金利の低利ローンは、金利の上昇局面では素晴らしい「資産運用」だ)。
ただたんに金利が上昇するだけなら、資金は預金保険がきく1000万円の範囲で銀行に預けておけばいい。預金封鎖を心配するひともいるようだが、これは明らかに憲法で保障された財産権の侵害だから、そんな“超法規的措置”を決断できる政治家がいるとは思えない。そんなことより、もっと簡単に財政危機を解決する方法があるからだ。
それが、インフレを起こすことだ。
物価が上昇すれば、それに合わせて名目の売上も増えるから、ひとびとの生活が苦しくなっても消費税や所得税などの税収は増加する。それに対して借金の額は固定だから、インフレになればなるほど政府の負債は軽くなって、そのうち財政は健全化してしまう。一方、個人の金融資産の価値は大幅に目減りする。
これはようするに、インフレによって国民から政府への大規模な所得移転が起きることだから、「インフレはもっとも過酷な税」といわれてきた。
【その2】実体のない投機には手を出さない。インフレ対策で誰もが真っ先に思い浮かべるのは金だろう。事実、ドルやユーロの信用不安を受けて、1グラム=4900円超と過去最高値を更新している。
ただしここで注意しなければならないのは、金属としての金そのものにはなんの価値もない、ということだ。ひとびとが争って金を買うのは、ほかのひとも金を買いたいにちがいない、と思っているからだ。これはたんなる幻想であって、それがはがれてしまえば金はただの石ころになる。これは、国家が信用を失えば紙幣がただの紙になるのと同じだ。
もちろん金に対する幻想はきわめて強いから、価格はまだまだ上がるかもしれない。しかしそれが、実体のない投機であるということは知っておいたほうがいい。
【その3】海外への分散投資。将来のインフレに備えるなら、金だけでなく、原油や貴金属、小麦などの農産物を含めた商品指数を購入する方法がある。いまではさまざまな商品指数がETFとして証券市場に上場されているので、それを利用すれば個人でも手軽にインフレのヘッジが可能だ。
金利が上昇し、高率のインフレが起きれば、「この世に錬金術はない」という法則にしたがって、いずれ為替相場は大幅な円安になる。それを見越して外貨や海外の株式・債券などに投資するのも有効なリスクヘッジだ。
私は個人投資家にとって、世界の株式市場に時価総額に応じて分散投資をするのが、もっとも保守的な資産運用だと考えている。といってもこれはぜんぜん難しいことではなく、いまでは東証のETF「上場MSCI世界株」(1554)を買うだけで、欧米はもちろん中国やインドを含む世界市場に投資できる。
ETFは株式と同様に気軽に売買できるので、いざという時のためにネット証券などに口座を開いておくのはけっして無駄ではない。しっかりとした準備ができれていれば、危機にも落ち着いて対処できるだろう。
前回のシミュレーションで円高が進み3年後には1$=60~50円台になるだろうと記述したが、だが円高とは何かについて考えてみよう。
財政赤字が膨張を続けて、日本国債が格下げされても、円は戦後最高値を更新している。なぜ財政が破綻しそうなのに円だけが高くなるのか? 本当に円は高いのか?
通貨と言うものは相対的なものだから、ドルに対して円が高くなっても、ユーロに対して円が高くなっても、ユーロに対して安くなるということがしばしば起きる。だが実効レートなら、世界の通貨の中で円が円が高くなっていく様子がわかる。(実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。具体的には、対象となる全ての通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出される。)
ところで実質為替レートというのは一体何だろうか?
実質為替レートは、日々変化する為替レートを見ているだけでは、把握することができない、両国の物価を加味した現実に近い為替レートであるために、2国間の正確な為替レートを知りたい場合は、実際の為替レートよりも実質為替レートの方を重視するべきです。
そして、実質為替レートは、一般的に使用されている、1米ドル=100円という邦貨建て名目為替レートで表現するのでは無く、1円=0.01米ドルという外貨建て名目為替レートで表現することになります。
例えば1米ドル=100円として、パン1個が日本で100円、アメリカで1ドルだったとする。このとき日本がデフレになって、パンが90円に値下がりしたとすると、このとき為替ルートが1ドル=100円のままだったら、ドル換算したパンの値段は90セントになる。
ところが同じパンがアメリカでは1個1ドルで売られているのだから、日本(90セント)からアメリカ(1ドル)に持っていくだけで、1個あたり10セント儲かることになる。モノを動かすだけで無限にお金を増やすことができる。すなわちここでは、あり得ないはずの錬金術が成立しまう。
でも現実にはこんなうまい話にはならない。為替ロートが1ドル=90円の円高になることで、90円のパンは1ドルになって、損得はなくなるのだ。(橘玲氏の円高に慌てるな引用)
要するに、資金力のない者がリサヤを儲けようと考えても儲からないように経済の仕組みはなっている。これが金融経済というものであろう。
しかし、日本から韓国に行けば旅費・ホテル代1泊2日=25000円だが韓国から日本に来れば50000万円では観光客は来ないだろう。
橘玲氏の円高に慌てるな
個人でできるリスクヘッジ
「国家破産」でなにが起きるのかあらかじめわかっているのなら、対処するのはそれほど難しくない。
もっとも重要なのは、【その1】変動金利の借入をしないことだ。毎月の返済が楽だからといって変動金利で住宅ローンを組んでいると、金利の上昇で返済に窮し、自己破産を余儀なくされることになる(逆に固定金利の低利ローンは、金利の上昇局面では素晴らしい「資産運用」だ)。
ただたんに金利が上昇するだけなら、資金は預金保険がきく1000万円の範囲で銀行に預けておけばいい。預金封鎖を心配するひともいるようだが、これは明らかに憲法で保障された財産権の侵害だから、そんな“超法規的措置”を決断できる政治家がいるとは思えない。そんなことより、もっと簡単に財政危機を解決する方法があるからだ。
それが、インフレを起こすことだ。
物価が上昇すれば、それに合わせて名目の売上も増えるから、ひとびとの生活が苦しくなっても消費税や所得税などの税収は増加する。それに対して借金の額は固定だから、インフレになればなるほど政府の負債は軽くなって、そのうち財政は健全化してしまう。一方、個人の金融資産の価値は大幅に目減りする。
これはようするに、インフレによって国民から政府への大規模な所得移転が起きることだから、「インフレはもっとも過酷な税」といわれてきた。
【その2】実体のない投機には手を出さない。インフレ対策で誰もが真っ先に思い浮かべるのは金だろう。事実、ドルやユーロの信用不安を受けて、1グラム=4900円超と過去最高値を更新している。
ただしここで注意しなければならないのは、金属としての金そのものにはなんの価値もない、ということだ。ひとびとが争って金を買うのは、ほかのひとも金を買いたいにちがいない、と思っているからだ。これはたんなる幻想であって、それがはがれてしまえば金はただの石ころになる。これは、国家が信用を失えば紙幣がただの紙になるのと同じだ。
もちろん金に対する幻想はきわめて強いから、価格はまだまだ上がるかもしれない。しかしそれが、実体のない投機であるということは知っておいたほうがいい。
【その3】海外への分散投資。将来のインフレに備えるなら、金だけでなく、原油や貴金属、小麦などの農産物を含めた商品指数を購入する方法がある。いまではさまざまな商品指数がETFとして証券市場に上場されているので、それを利用すれば個人でも手軽にインフレのヘッジが可能だ。
金利が上昇し、高率のインフレが起きれば、「この世に錬金術はない」という法則にしたがって、いずれ為替相場は大幅な円安になる。それを見越して外貨や海外の株式・債券などに投資するのも有効なリスクヘッジだ。
私は個人投資家にとって、世界の株式市場に時価総額に応じて分散投資をするのが、もっとも保守的な資産運用だと考えている。といってもこれはぜんぜん難しいことではなく、いまでは東証のETF「上場MSCI世界株」(1554)を買うだけで、欧米はもちろん中国やインドを含む世界市場に投資できる。
ETFは株式と同様に気軽に売買できるので、いざという時のためにネット証券などに口座を開いておくのはけっして無駄ではない。しっかりとした準備ができれていれば、危機にも落ち着いて対処できるだろう。
by nakayama-yutaka
| 2011-10-19 06:24
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