2009年 10月 27日
自治会の選挙運動 |
自治会と選挙の関係
公正な選挙と自由な地域社会の実現に向けて
益田市では、先の衆議院選挙で、副市長が特定の政党に投票しないよう職員に「暑中見舞い」を送ったことで、その特定の政党である「民主党」から告発されている。
岐阜市では、市長選後、幹部職員3名が「公務員の地位利用によって特定候補のための運動をした」として順次逮捕されている。
公務員と選挙との関わりについて、公職選挙法は基本的には関わることを禁じている。しかし、水面下では違法スレスレのことが行われていることも事実だ。
しかし、「地位利用」による特定政党や候補者への投票を誘因する行為は厳格に禁じられている。具体的には、職務上の組織や身分の上下関係を利用したり、許可、認可等の職務権限を利用して行う選挙運動等があたる。
ところで、何時も問題になるのが、行政機関の実質的な下部機関(もしくは補完機関)となっている「自治会」と選挙の関係については、いくつかの見解がある。
特出なのは、岐阜県選挙管理委員会が示した見解である。
99年8月24日に行われた議員選挙の立候補予定者説明会で、高富町(現岐阜県山県市)選挙管理委員会は、参加者からの「候補者のポスターやハガキに自治会推薦と書いてよいか?」との質問に対して、次の主旨の回答をした。
「自治会推薦について、県の見解は次のとおり。自治会の全部の世帯からの参加がある総会で、一人も反対のない全会一致で決定された場合であるなら『自治会推薦』という言葉が使える。なぜなら、投票は個人の権利であるが、この『投票』という権利を誰かが束縛することになってはいけないからである。しかし実際には、全員参加の総会で全会一致ということはまずないだろうから、実質的には、自治会推薦という言葉は使えない。」
この他、岡山県吉備高原にある自治会の執行部会は、「自治会として選挙等への関与、つまり、候補者の推薦等は一切行わないことを決定」し、「選挙等の政治関与は自治会運営の本質と基本的に一切関係なく、選挙は地方自治への個人意思での対応とすることが最善で、自治会に選挙等の政治は持ち込まない、自治会は、そのような事柄には関与しない。」と発表し、その妥当性について岡山県の選管に問い合わせを行った。
岡山県の選管は、この結論に対し「一切の疑義はなく、選挙に対する基本的考え方として非常に正しい。」との見解を示した。
京都府、千葉県などは不動産を保有するために認可を受けて地縁団体となった自治会以外の自治会については、「候補者に対する自治会推薦については、その団体の中で論議され、決定される問題」だという見解に留まっているようだが、自治会自体が世帯単位で構成されているため、自治会総会に参加していない個人の投票行動への制約が生じるおそれがあるという理由で、自治会推薦を行わないことが望ましい、としている。
しかし、実際のところ、自治会長や役員が後援会の活動や集会のよびかけなどをすることは、許されるのだろうか。
ほとんどの地方自治体は、自治会活動費補助金、自治振興助成金等として各自治会に、交付要綱に従って、公金を支出している。
自治会及び自治会員という立場、特に役員らが特定候補者に対していろいろな形態の寄付行為をすることは禁止されていることにならないか、実質的には、自治会として選挙活動にかかわってはいけないということにならないのだろうか。
自治会が選挙に関わるとき、いろいろな面で寄付行為に該当する可能性がある。先の岐阜市でも議会で問題となり、市側が「自治会を利用した選挙運動があったという事実があれば、その活動は好ましくない。
今後は、自治会を利用した選挙運動は疑惑を招くため、自治会活動と切り離して対処するようお願いしてく。」と答弁している。
地元自治会の強力な支援を受けて当選した首長や議員が、地元の我ままを無視して、公正公平な予算執行がされると期待できるだろうか。地元要望に対して、優先順位の見直しなど、何らかの恣意的判断も起こりうると考える方が自然だろう。
厳しい財政状況下で、こうしたことが許されるはずもないのだが、地域対抗意識丸出しの今回の選挙の後、そのようなことが起きることを懸念する有権者も多い。若い新町長は、そのことを忘れず、公平公正な予算執行に励むよう望みたい。
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公正な選挙と自由な地域社会の実現に向けて
益田市では、先の衆議院選挙で、副市長が特定の政党に投票しないよう職員に「暑中見舞い」を送ったことで、その特定の政党である「民主党」から告発されている。
岐阜市では、市長選後、幹部職員3名が「公務員の地位利用によって特定候補のための運動をした」として順次逮捕されている。
公務員と選挙との関わりについて、公職選挙法は基本的には関わることを禁じている。しかし、水面下では違法スレスレのことが行われていることも事実だ。
しかし、「地位利用」による特定政党や候補者への投票を誘因する行為は厳格に禁じられている。具体的には、職務上の組織や身分の上下関係を利用したり、許可、認可等の職務権限を利用して行う選挙運動等があたる。
ところで、何時も問題になるのが、行政機関の実質的な下部機関(もしくは補完機関)となっている「自治会」と選挙の関係については、いくつかの見解がある。
特出なのは、岐阜県選挙管理委員会が示した見解である。
99年8月24日に行われた議員選挙の立候補予定者説明会で、高富町(現岐阜県山県市)選挙管理委員会は、参加者からの「候補者のポスターやハガキに自治会推薦と書いてよいか?」との質問に対して、次の主旨の回答をした。
「自治会推薦について、県の見解は次のとおり。自治会の全部の世帯からの参加がある総会で、一人も反対のない全会一致で決定された場合であるなら『自治会推薦』という言葉が使える。なぜなら、投票は個人の権利であるが、この『投票』という権利を誰かが束縛することになってはいけないからである。しかし実際には、全員参加の総会で全会一致ということはまずないだろうから、実質的には、自治会推薦という言葉は使えない。」
この他、岡山県吉備高原にある自治会の執行部会は、「自治会として選挙等への関与、つまり、候補者の推薦等は一切行わないことを決定」し、「選挙等の政治関与は自治会運営の本質と基本的に一切関係なく、選挙は地方自治への個人意思での対応とすることが最善で、自治会に選挙等の政治は持ち込まない、自治会は、そのような事柄には関与しない。」と発表し、その妥当性について岡山県の選管に問い合わせを行った。
岡山県の選管は、この結論に対し「一切の疑義はなく、選挙に対する基本的考え方として非常に正しい。」との見解を示した。
京都府、千葉県などは不動産を保有するために認可を受けて地縁団体となった自治会以外の自治会については、「候補者に対する自治会推薦については、その団体の中で論議され、決定される問題」だという見解に留まっているようだが、自治会自体が世帯単位で構成されているため、自治会総会に参加していない個人の投票行動への制約が生じるおそれがあるという理由で、自治会推薦を行わないことが望ましい、としている。
しかし、実際のところ、自治会長や役員が後援会の活動や集会のよびかけなどをすることは、許されるのだろうか。
ほとんどの地方自治体は、自治会活動費補助金、自治振興助成金等として各自治会に、交付要綱に従って、公金を支出している。
自治会及び自治会員という立場、特に役員らが特定候補者に対していろいろな形態の寄付行為をすることは禁止されていることにならないか、実質的には、自治会として選挙活動にかかわってはいけないということにならないのだろうか。
自治会が選挙に関わるとき、いろいろな面で寄付行為に該当する可能性がある。先の岐阜市でも議会で問題となり、市側が「自治会を利用した選挙運動があったという事実があれば、その活動は好ましくない。
今後は、自治会を利用した選挙運動は疑惑を招くため、自治会活動と切り離して対処するようお願いしてく。」と答弁している。
地元自治会の強力な支援を受けて当選した首長や議員が、地元の我ままを無視して、公正公平な予算執行がされると期待できるだろうか。地元要望に対して、優先順位の見直しなど、何らかの恣意的判断も起こりうると考える方が自然だろう。
厳しい財政状況下で、こうしたことが許されるはずもないのだが、地域対抗意識丸出しの今回の選挙の後、そのようなことが起きることを懸念する有権者も多い。若い新町長は、そのことを忘れず、公平公正な予算執行に励むよう望みたい。
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by nakayama-yutaka
| 2009-10-27 21:03
| 津和野町政
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