2009年 09月 09日
副市長公選法違反事件(2) |
椋木副市長
一躍全国区!
たまたま何時もはあまり視ることのない正午のNHKニュースを視ていて驚いた。最初は何気なく視ていたのだが、突然「島根県の益田市の副市長が・・・」というフレーズが聞こえ、椋木副市長の顔が出てきた。
思わず時計を見ると、ローカルニュースの時間帯ではない。それに地方局のアナウンサーではないから、「これは全国放送か!」と驚いてしまった。
ニュース内容
衆議院選挙の投票前、島根県益田市の副市長が「暫定税率の廃止を訴える政党では、高速道路の早期整備の見通しが不透明だ」などと、特定の政党に投票しないよう呼びかける内容の残暑見舞いの手紙を市の幹部職員に送っていたことがわかりました。
この手紙は先月下旬、益田市の複数の課長級以上の幹部職員に届いたもので、差出人は益田市の椋木和雄副市長になっています。
手紙には、ワープロで「山陰は高速道路の整備が急がれますが、暫定税率の廃止を訴える政党では早期整備の見通しはまったく不透明だ。マスコミが圧勝を予測している政党に対してNOを突きつけることこそ、この選挙の基本的なあり方だ」などと書かれ、民主党に投票しないよう呼びかけたと受け取れる内容になっていました。
この問題は、7日の益田市議会の一般質問で取り上げられ、椋木副市長は「怪文書」だと答弁していましたが、9日の市議会の本会議で「発言の内容が異なったことについておわびする」と述べて、この手紙を送ったことを公に認め、陳謝しました。公職選挙法では、公務員が地位を利用して選挙運動することを禁止しています。(以上、NHKニュースより)
NHKが違法だと報じていることの意味
NHKは、「公職選挙法では、公務員が地位を利用して選挙運動することを禁止しています。」と言っている。
要するにNHKは、椋木副市長が公職選挙法に抵触したと言っているのだ。そうでなければNHKが全国ニュースでこの事件を電波に乗せるはずはない。
地方公務員法は、第36条で一般職には政治的行為の制限を規定しており、基本的に選挙活動はできない。しかし、副市長は、地方公務員法法第3条第3項に掲げる特別職に属する地方公務員(知事、市町村長、議会の議員、各種の審議会の委員等) だから選挙運動が禁止されているわけではない。
ところが、公職選挙法第136条の2は、「次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。」と規定している。
その第1号には、「国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人若しくは特定地方独立行政法人の役員若しくは職員」とあり、選挙運動をすることができない公務員は、一般職の公務員だけで、特別職の公務員は対象外とは明記されていない。ただ「公務員」としか書いてない。
つまり、公職選挙法では、特別職の公務員であっても、その地位を利用して選挙運動することは違法だとしているのだ。
議会での「嘘」が責められているのではない
椋木副市長の場合、副市長の地位を利用して職員に「特定政党」への投票をしないように職員にはらたきかけている。
地方公務員がその地位を利用して行う選挙運動は、単に服務上の問題ではなく、それが選挙の自由、公正を著しく害することになるので、事前であれ選挙運動期間中であれ、一切禁止されているのだ。一般的には選挙運動ではないとされている立候補準備行為や選挙準備行為でも地位利用になる場合はできない。
「その地位を利用して」とは、地方公務員がその地位にあるため、特に選挙運動を効果的に行いうるような影響力または便益を利用する意味であり、職務上の地位と選挙運動の行為が結び付いている場合をいう。
したがって、地方公務員の内部関係において、職務上の指揮命令権、人事権、予算編成権等に基づく影響力を利用して、部下又は職務上の関係のある地方公務員等に対し、選挙に際して特定の政党への投票を促すことは明らかに違法なのである。
要するに、特定の政党を支持しないように誘導する文言を入れた「残暑見舞い」を自分で書き、部下に送達しておきながら、「怪文書」だと議会で発言し、翌日には「実は自分が書いて投函しました。申し訳ありません」と陳謝したから済むという問題ではないのだ。
また、公務員の中にはこの程度のバカは多いから、この程度の公職選挙法違反は少なからぬ事例がある。しかし、田舎の自治体で起きた事件がNHKの全国ニュースで何度も流されるようなことはない。市長も議会もこの事件の重みの意味が理解できているのだろうか。
辞任を待つより、罷免した方が益田市が受けるダメージは少しは軽くなるだろう。
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一躍全国区!
たまたま何時もはあまり視ることのない正午のNHKニュースを視ていて驚いた。最初は何気なく視ていたのだが、突然「島根県の益田市の副市長が・・・」というフレーズが聞こえ、椋木副市長の顔が出てきた。
思わず時計を見ると、ローカルニュースの時間帯ではない。それに地方局のアナウンサーではないから、「これは全国放送か!」と驚いてしまった。
ニュース内容
衆議院選挙の投票前、島根県益田市の副市長が「暫定税率の廃止を訴える政党では、高速道路の早期整備の見通しが不透明だ」などと、特定の政党に投票しないよう呼びかける内容の残暑見舞いの手紙を市の幹部職員に送っていたことがわかりました。
この手紙は先月下旬、益田市の複数の課長級以上の幹部職員に届いたもので、差出人は益田市の椋木和雄副市長になっています。
手紙には、ワープロで「山陰は高速道路の整備が急がれますが、暫定税率の廃止を訴える政党では早期整備の見通しはまったく不透明だ。マスコミが圧勝を予測している政党に対してNOを突きつけることこそ、この選挙の基本的なあり方だ」などと書かれ、民主党に投票しないよう呼びかけたと受け取れる内容になっていました。
この問題は、7日の益田市議会の一般質問で取り上げられ、椋木副市長は「怪文書」だと答弁していましたが、9日の市議会の本会議で「発言の内容が異なったことについておわびする」と述べて、この手紙を送ったことを公に認め、陳謝しました。公職選挙法では、公務員が地位を利用して選挙運動することを禁止しています。(以上、NHKニュースより)
NHKが違法だと報じていることの意味
NHKは、「公職選挙法では、公務員が地位を利用して選挙運動することを禁止しています。」と言っている。
要するにNHKは、椋木副市長が公職選挙法に抵触したと言っているのだ。そうでなければNHKが全国ニュースでこの事件を電波に乗せるはずはない。
地方公務員法は、第36条で一般職には政治的行為の制限を規定しており、基本的に選挙活動はできない。しかし、副市長は、地方公務員法法第3条第3項に掲げる特別職に属する地方公務員(知事、市町村長、議会の議員、各種の審議会の委員等) だから選挙運動が禁止されているわけではない。
ところが、公職選挙法第136条の2は、「次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。」と規定している。
その第1号には、「国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人若しくは特定地方独立行政法人の役員若しくは職員」とあり、選挙運動をすることができない公務員は、一般職の公務員だけで、特別職の公務員は対象外とは明記されていない。ただ「公務員」としか書いてない。
つまり、公職選挙法では、特別職の公務員であっても、その地位を利用して選挙運動することは違法だとしているのだ。
議会での「嘘」が責められているのではない
椋木副市長の場合、副市長の地位を利用して職員に「特定政党」への投票をしないように職員にはらたきかけている。
地方公務員がその地位を利用して行う選挙運動は、単に服務上の問題ではなく、それが選挙の自由、公正を著しく害することになるので、事前であれ選挙運動期間中であれ、一切禁止されているのだ。一般的には選挙運動ではないとされている立候補準備行為や選挙準備行為でも地位利用になる場合はできない。
「その地位を利用して」とは、地方公務員がその地位にあるため、特に選挙運動を効果的に行いうるような影響力または便益を利用する意味であり、職務上の地位と選挙運動の行為が結び付いている場合をいう。
したがって、地方公務員の内部関係において、職務上の指揮命令権、人事権、予算編成権等に基づく影響力を利用して、部下又は職務上の関係のある地方公務員等に対し、選挙に際して特定の政党への投票を促すことは明らかに違法なのである。
要するに、特定の政党を支持しないように誘導する文言を入れた「残暑見舞い」を自分で書き、部下に送達しておきながら、「怪文書」だと議会で発言し、翌日には「実は自分が書いて投函しました。申し訳ありません」と陳謝したから済むという問題ではないのだ。
また、公務員の中にはこの程度のバカは多いから、この程度の公職選挙法違反は少なからぬ事例がある。しかし、田舎の自治体で起きた事件がNHKの全国ニュースで何度も流されるようなことはない。市長も議会もこの事件の重みの意味が理解できているのだろうか。
辞任を待つより、罷免した方が益田市が受けるダメージは少しは軽くなるだろう。
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by nakayama-yutaka
| 2009-09-09 23:55
| 益田市政
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Comments(10)
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通りすがり
at 2009-09-10 02:24
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2チャンでもずいぶんひどいことが書いてあります。なんという恥ずかしいことをしてくれたのでしょう。島根県や益田市のマイナスイメージを増幅させたバカには償いをさせねば!
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kazuki
at 2009-09-10 07:50
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全国知事会が発表した各政党評価は抵触してないのですか?
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通行人
at 2009-09-10 10:52
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今回の副市長の行為を市長が何も処分しなかったら、公務員が地位を利用しての政治活動を認めることになります。副市長の件が前例となり、今後市職員がこのような行為を行なっても、処分しにくくなりますね。と言う事は社民党・民主党に有利になるのが自民党の多い議会は分からないのでしょうか?今回の件をこのまま陳社だけで終わらせるとしたら、議会内の社民・民主党支持議員はなかなかの策士だと思います。
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nakayama-yutaka at 2009-09-10 14:45
通りすがりさん そのとおりだと思います。このまま残りの任期を務めて、退職金まで払って益田市に何のメリットがあるというのでしょうか。
kazukiさん 全国知事会議は衆院選で、各党のマニフェスト(政権公約)の評価については、地方分権改革への取り組みに絞って独自に点数化して公表しましたが、これが直ちに地位を利用した選挙活動には結びつくものではないでしょう。今回の副市長のケースとは違うと思います。
通行人さん ご指摘のとおりだと思います。しかし、元来がこの程度の議会ですから今さら特に感慨はありません。民社・社民も同じでしょう。
kazukiさん 全国知事会議は衆院選で、各党のマニフェスト(政権公約)の評価については、地方分権改革への取り組みに絞って独自に点数化して公表しましたが、これが直ちに地位を利用した選挙活動には結びつくものではないでしょう。今回の副市長のケースとは違うと思います。
通行人さん ご指摘のとおりだと思います。しかし、元来がこの程度の議会ですから今さら特に感慨はありません。民社・社民も同じでしょう。
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kazuki
at 2009-09-11 08:02
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それなら、益田市の利益に結び付く取組みに絞って、市長もしくは市議が独自に点数化して公表すれば、問題は無かった。市民も判断しやすかったのでは。
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益田難民
at 2009-09-11 12:28
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kazukiさんのコメントについてですが、知事会マニフェスト評価が点数が高い政党への投票を促すものであることは明白で、また地方分権改革も暫定税率も政権の施策の一つであって、これらのケースが違うというのはどのような論理、法解釈になるのでしょうか。公示日の前と後?
副市長の破廉恥行為は別として、知事会のあの時の行動になんとなく釈然としないものを感じていましたので、よい説明があればご教示下さい。
副市長の破廉恥行為は別として、知事会のあの時の行動になんとなく釈然としないものを感じていましたので、よい説明があればご教示下さい。
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1
at 2009-09-11 22:20
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nakayama-yutaka at 2009-09-12 02:05
この写真は、NHKのTVニュース画面を複写転載したもので、当方に悪意はありませんので、悪しからず・・・・・
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kazuki
at 2009-09-14 17:59
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私はただ、nakayamaさんの意見を参考にしたまでです。何の法解釈も無く、知識も無い意見なので、聞き流して下さい(笑)
しかし、私も知事会評価に釈然としてませんでした。評価を公表することで、明らかに市民や関係者を誘導していると感じました。(実際は自民党が総合評価が高かったみたいですが、民主党の政策を押してたみたい)
それなら同じ手法を使って前に記載した評価法が使えるのでは…と、天の邪鬼になりました。
疑問を持たせてしまいまして、すみませんでした。
しかし、私も知事会評価に釈然としてませんでした。評価を公表することで、明らかに市民や関係者を誘導していると感じました。(実際は自民党が総合評価が高かったみたいですが、民主党の政策を押してたみたい)
それなら同じ手法を使って前に記載した評価法が使えるのでは…と、天の邪鬼になりました。
疑問を持たせてしまいまして、すみませんでした。
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nakayama-yutaka at 2009-09-14 21:19
kazukiさん 地方分権についてだけとは言いながら、各党の政権公約を点数化して公表すれば、結局、知事会として支持政党を明らかにしたことと変わりはないでしょうね。
しかし、今まで国会議員の選挙で現職の首長は、実際にマイクを持って自民党候補の応援演説をやっていました。これも明らかに地位を利用した選挙活動ですが、起訴されたという話は聞きません。これも不思議なことです。
ただ、今回の場合、今後の島根県、特に西部地域の政治的なスタンスを考えれば、副市長の軽率な行動は看過できないだろうという感想を述べただけです。しかし、市長が副市長を罷免せず、議会もさらなる追及もしないところを見ると、未だに空気の読めない連中だと呆れるばかりですが、民主党県本部は看過しないようですから、もう一度全国ニュースになりそうです。
しかし、今まで国会議員の選挙で現職の首長は、実際にマイクを持って自民党候補の応援演説をやっていました。これも明らかに地位を利用した選挙活動ですが、起訴されたという話は聞きません。これも不思議なことです。
ただ、今回の場合、今後の島根県、特に西部地域の政治的なスタンスを考えれば、副市長の軽率な行動は看過できないだろうという感想を述べただけです。しかし、市長が副市長を罷免せず、議会もさらなる追及もしないところを見ると、未だに空気の読めない連中だと呆れるばかりですが、民主党県本部は看過しないようですから、もう一度全国ニュースになりそうです。