2009年 11月 03日
中高一貫教育(3) |
目標は併設型・・・本気か?
読者から津和野町が目標としている中高一貫教育は、「併設型」に間違いないようだ、というメールが入った。
現在の県立津和野高校を母体として、町内の中学校を何校か県立に移行し、「併設型」の中高一貫教育を行い、町外からも受験者を受け入れ、薬歯医系の進学校にするのが目的だという。
しかし、母体となる津和野高校を設置している島根県との協議はこれからだという。津和野町の狙いは、前述のように、現在の町立中学校のいくつかを県立に移行させたいということらしいが、県内に県立中学校は今のところ一校もない。財政の逼迫した島根県が、津和野町の思惑どおりに対応するかどうかは大いに疑問だ。
少子高齢化が進み、生徒が激減して定員割れになる高校も多い。そうした高校を抱える自治体が一度は考えそうな計画だが、公立学校での実現は困難だろう。
現在、島根県内には次の3校が中高一貫教育を実施しているが、何れも私立高校だ。また、石見智翠館高校(旧江の川高校)が、平成23年度からの実施を予定している。
松徳学院中学校(偏差値54)⇒松徳学院高校[アドバンス](偏差値49)
出雲北陵中学校(偏差値53)⇒出雲北陵高校[特進](偏差値51)
開星中学校 (偏差値53)⇒開星高校[普通](偏差値49)
これらの学校の中高一貫教育は、少子化の中で生き残りに懸命の努力をしている。しかも、私立だから、ある程度は柔軟な対応が可能だ。それでもこの偏差値だから、進学校としての評価を得るにはまだ努力が足りないという他ない。
しかも、県内の公立高校には、松江北高校理数科(偏差値63)、出雲高校理数科(偏差値62)をはじめ、浜田高校理数科(偏差値59)、益田高校理数科(偏差値58)など、そこそこ進学実績のある高校が存在しているから、現在のところ偏差値43の津和野高校を母体とした中高一貫校に町外から優秀な生徒が大勢い来るとも思えない。
なんともお粗末な「勘違い」
高い偏差値を維持している公立高校は、優秀な生徒が受験して入るから存在するのである。中高一貫校をつくれば自動的に優秀な受験向けの生徒が育つはずもない。簡単に育つのなら県内の私立の中高一貫校も苦労はしないだろう。
シビアな私立学校の受験競争市場に、公立中高一貫校が参入し、しかも町外から多くの優秀な生徒を集めるなどという無謀な試みが成功するとでも思っているのだろうか。
市場の原理が全く働かない公務員が運営する公立中高一貫校が、優秀な受験プロの教師をを高額な報酬でスカウトしてくる私立高とどう張り合えるというのか。勘違いも甚だしい。
そんなことに割く時間とお金があるのなら、もっと地域の産業振興、雇用の拡大に使う方がよほど大事だ。
ちなみに、津和野町議会がわざわざ視察に行った山口県の県立中学校、県立高校の併設型中高一貫校の高校の偏差値は、津和野高校より低い42でしかないのだが、何を視察しにいったのやら・・・・・・
by nakayama-yutaka
| 2009-11-03 00:23
| 津和野町政
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